<2月16日 大阪近鉄バファローズ春季キャンプ(宮崎県 日向市)にて、 遂にパリーグ2冠王、中村紀洋は、憧れの落合博満氏との対面を果たしていた。 そこでは、一体どんな話がされていたのか? 4回に渡ってノーカット版をお送りします。>
 

落合:だいぶ疲れが溜まってますか?

中村:まだそんなに溜まってないです。

落合:でも、打ち方見たら「疲れたかなー?」ていう、そんな感じに見えるんだよね。

中村:色々考えて、去年教えていただいた事を、ずっと取り組んでいるんですけど、なかなか上手く行かないんで。

落合:そりゃ簡単にできたらねぇ、こんな楽な商売ないよな。

中村:コツさえ掴めればいいんですけど、コツがなかなか掴めないんですけど。ティーバッティングでもどういう風に、右足が自分の中でも基本だと思ってますんで、右足の角度がちょっと分からないんですよ。開いたらダメだなっていうのもあるしちょっと内に入れてやってみたり、色々取り組んでいるんですけど、どれが一番後ろ(足)で我慢できるかなという。

落合:そうやってね、練習というのは色んな事をやってね、その中で自分に一番合うものだけを見つけていくという事をね、やっぱりしなきゃいけないんですよ。その中で見てて一番怖いのはね、今これを例えばやり始めたと、どうしても人間というのはすぐ結果が欲しくなるんでね、そこをどうやって我慢して、これは例えば何ヶ月後何年後というものの考え方をしてくれれば、決して今やっていることが無駄にはならないの。だからその辺、中村の頭の中にね、今取り込んでくれるものが、それは、今出来ればこれは一番良いんだけれども、大体、何年計画ぐらいで完成させようと思ってます?

中村:できないと思うんですけど、二年が必要かなと自分の中であるんですよね。100%どんな球が来ても、そのスタイルで行けるっていうのが、二年ぐらいかかるかなと思うんですけど。

落合:そのくらいの考えがあるんだったら、大丈夫だね。

中村:基本的には下半身を作らないけないと、このキャンプずーっと思ってましたんでバッティングも出来るだけ速いペースで特打もしてたんですけど、やっぱり特打になると惰性になるんで、一つ一つ自分の考えている通り打ちたいんですけど、やっぱり、お客さんが入ってきたりするんで、例にないことなんで、初めてこんなに人が集まって、その中でやっぱりいいとこ見せないかん、観に来ていただいてるのに、仕様も無いバッティングは出来ないというのもありますんで。偶にめちゃくちゃなスイングになったり、一からまたスタートするという、バッティング終ればまたティーに戻って、一からまたやるんですけど、その繰り返しなんですね。どれが一番自分の中でタイミングを取り易いバッティングフォームかなというのは色々まだ考えている状態なんで、今日教えていただいて、やっと閃きというのが出来てきたかなという。


 

落合:一日の練習の中でね、ウォーミングアップという事じゃ無いけども、ランニングの量というのは、どのくらいしてます?

中村:ダッシュ系だけですね。ダッシュ系主体でロングは走ってないんですけど、その分守備ばっかりやってたんですよね。守備で鍛えて、あとランニングという。バッティングは別にまぁ、下半身だけを意識しながら、上はもう何も考えずに、下半身だけを、打球を見ないでやってるんですけども。

落合:量走らなきゃだめなのよ。長い時間も、そのダッシュ系統もね。自分が思っているよりも、もうちょっと走った方が良いのかなと。ノック受けるときに、ノックの受け方というのはどうやって受けてるの?

中村:やっぱり内に力を入れながら、絶対に漏れないように。殆ど横には振っていただけないんで、正面で尚且つ絞りながら、そのイメージしか持ってないんですけども。

落合:取るだけ?

中村:取って投げるんですけども、その投げるまでは。

落合:一日、百本受ける二百本受ける、何本受けるんでも良いんだけども、必ず受けた時には、きちっとスローイングが終わるまで、急ぐ事ないから。ボールっていうのは、こうやって取って、右足へ乗っけて、それでファーストならファーストへ放る訳だから。これがひとつの動作なの。その動作を繰り返す事によって、右足へどうやって重心が乗っかるのかな、それでどうやって左足が前へ出て行くのかなという体重の移動とかね、かけ方というのがこれは、バッティングと共通するものがあるの。だから、それはね是非やってもらいたいの。取るだけではなくて、例えば個人ノックやるにしても何にしてもね、必ず取ったら一回右足へ体重を乗っけて、それでスローイングで終わるという、これをやらないと、ただ単にボールを取るだけで終わっちゃう。だから野球は、投げるにしても、走るにしても、ボールを打つにしても全て関連があるという事をね、頭の中に入れといて取り組んでくれれば、普通の人は3時間やらなきゃいけないところを、1時間半で済むの。だから、合理的に考えてという方が、役には立つとは思うの。お客さんが入って来て意識してやる。これもまた必要なの。ただその時に、自分の意識の中でね、どういう打球を打ちたいという意識がありますか?

中村:やっぱり、遠くへ飛ばすという様な、誰でも打てない打球を打つというのが離れないんで、それについつい拘ってしまうというか。

落合:打球の質じゃなくてね?

中村:はい。

落合:距離ね?

中村:距離ですね。