中:今度は行くラインを下げようとは思ってる?

森:試合の流れとか、入ってからだと思うんだけど、自然とやっぱりあの試合だったら自然とそういう風にならないとまずいとは思いますよね。がっちり守らなきゃ。でも最初に2点取られたから、1点でも、1点でもっていうのは確かにあったと思いますけど。

中:そういう意味ではある程度立ちあがりは慎重に、ボール入っていくときにはとかには強くいくけど

森:そこまでは高く行かないほうがいいと思いますけど。ただ、だからどうしてもどういう戦術をひくとか、誰をどこに配置するだとかシステムをどうするだとか、もちろん全部トルシエの決めることだから。それに対して何かおかしいんじゃないのってあったとしてもまずは僕は右サイドでやっていますよね。そこで、まず右でどの程度やれるかっていうのをぼくはまず見せなくちゃいけないし。ってとこだと思うんですけどね。

中:もちろんチームの事も考えるけど、自分のことも考えないといけない。自分のパフォーマンスをしっかりしないといけない。考えながらやらないといけない。フランス戦そういう風に戦って後半、3点取られたけど、それはある程度2点取られた後で勝負でなくちゃいけなかったんで、取られた事もあると思うんですよ。スペースが空いてきたからね。

森:めちゃめちゃ空いてましたからね。

中:しかもあれだけスペースあると彼らのテクニックがあれば一発でくずされるわけじゃないですか。ほとんどボールさわることが出来ないまま最後まで崩されてシュートって形もあったわけだから。そういった中で何が一番違ったと感じました?

森:当たり前に一流どころはミスをしないんですよ。だからちょっとプレッシャーかけようが何しようが、堂々とキープするし。メンタル面での違いは大きい気がしますよね。

中:落ち着きってところがまず違う?

森:ああいう大舞台に慣れてるっていうのは。大舞台じゃないわけじゃないですか。親善試合だから。それどもああいう作り上げられた雰囲気の中で慣れてるなっていうのは、すごい感じましたね。それと当たり前に技術高いからミスをしない。そうするとミスしてくれないとディフェンダーっていうのは取れないですよ。だからそこにプラスアルファの駆け引きだとかをもっともっとだしていかないと。接触プレーだとか激しいプレー。そんなもんは当たり前だと思うんですけどね。ただそういう局面を作らせてもらえなかったからね。

中:要するに強く行く場面も。彼らはボール持ってる時間、2,3秒じゃないですか

森:そう。速いから

中:ボール持って来たらすぐ離す、来たらすぐ離すの連続で、しかもそれ誰もミスしないから。最後は後手後手で。精神的には余裕があってああいう雰囲気の中で普通の当たり前のプレーが出来る。そして技術的にはミスをほとんどしない。例えば戦術的にうまく考えてやってるなっていうのはある?

森:サッカー知ってるなっていうのは思いますよ。あれだけ速くはたいてはたいて。無理しないで。でもなんだかんだいって基本的に最後にゲームを作ってるのはジダンだったと思うんで、そこをどうするかって。全部前向かれてたわけですから。中盤で。その辺問題だったと思いますね。
中:セリエAの中でもジダンは相手と正対するのめちゃくちゃ速いじゃないですか。相手を背負っててもすぐバックステップ踏んですぐ正対するじゃないですか。あれは例えばどの国がやっても彼には難しいわけですよ。それを日本のマスコミでもいろんな人が「あれをなんとかしなくちゃいけない」とか。なんとか誰も出来ないからそれはしょうがないと思うんだけど、ある意味彼が出すパスの出所についてはもうちょっと抑えられると思うけど、止めるのは無理だと思うのね。

森:あんだけのパフォーマンスしてくる相手っていうのはあんまりやったことないんで。あんまりというか多分あそこまでやられたのは初めてだと思うんですけど。だからこそ自分の予想以上のプレーをしてくる相手っていうのは経験すればそこそこわかってきますよね。

中:経験値が上がれば上がるほど、今までわからなかったものが、わかってくれば、これくらいやられてもしょうがないよ、って。他のところ抑えようって余裕が出てくるんじゃない?

森:だから先が読めると思うし、これからは。この間のは明らかに後手踏んでたんで。

中:この間は自分が予想してるよりはるかに上に相手のプレーが

森:そうですね。そういうところありましたね。

中:まあ、そのフランス戦のことはある程度わかったんですけど、トルシエが攻撃的にやろうとしてることはどういうことなんですか?

森:
彼の中ではきっとラインを押し上げる事によって、当然後ろに出てくるのは駆け引きで、オフサイドラインにおいてしまいましょうと。オフサイドトラップをかけるってわけではないと思うんですけど。

中:高いライン保ってこういう動きする選手に対してはオフサイドで

森:だからそうすればボールが高い位置でとれるわけじゃないですかね。それによって攻めやすいっていうのはもちろんそうだと思うし、攻めに関してはディフェンダーなり中盤なり、速めにトップにあてましょうっていうふうにやってますけどね。

中:それはよく言われる?

森:結構言われてますね。そうするとがっちり守ってくる相手にあたったときには難しいですけどね。

中:難しいですよね。で、いつも気になるのは(センターの)松田がボール持って、(サイドの)森岡のところにくるじゃない?で、森岡がボールもってトップ見るじゃないですか。最初のタイミングで目が合って出せるときは必ず出すじゃないですか。それが出せなかったときに必ず迷ってセンターに返す。出すところがないって思っていつもプレーしてません?

森:してますよ。ヒデなんかは裏に抜けようとしたり、寄ってきたりはするんですけど、如何せんこの距離っていうのは長いんですよ。だからそこで毎回そこにいれるのは僕の中であんまりお薦めはしないわけじゃないですか。僕がディフェンダーだったらそんなに楽な攻めはないから。ただ中盤とかも結構練習の中でオートマティックに動いてる。上がってったのに対して動き出すっていうの結構やってるから

中:今も言ったようにまずトップに狙って、このボールに対してウィングバック、ハーフの選手が動き出すっていう練習はしてるんですか?

森:結構それやってるもんで動き出しは、ある意味速いのはすばらしいんだけど。

中:DFからFWへのパスがしっかり収まれば、チームとして形が出てくるけれど、それが収まらないときが問題なのよ。この間フランスのときもそこにほとんどボールが収まらなかったからチャンスができなかったっていうのもあるんですけど、じゃあここにしっかり収まらない、デサイーとか、ルバフというセンターバックがいるとかなり厳しいから、しかももう明かに森岡がボール持ったときに狙ってるのわかるから。だから要するにここは厳しいじゃないですか。そのときにここはどうしたらバリエーション増える?

森:戦術うんぬんじゃなくて僕なんかは1つ上2つ上をいかなくちゃいけないと思うんだけど

中:ということは自分のドリブルでかわせたりとか?

森:かわすのは明らかにリスクが大きい。だけど運んでいってる間につまっちゃうんですよだから、ウイングバックを含めてもう少し色々やらなくてはいけないと思うんですけど。基本的にウイングバックってタイプじゃない選手が多いじゃないですか

中:うん。ここがボランチのタイプの人がよく使われるよね。

森:だから、ここで勝負ってのがあんまりないわけですよね。だからもっともっとボールのまわしは速くってことじゃないですかね、今は。もっともっとテンポよく動かして。

中:例えばDFラインで持ってるときに、中盤で出すという選択肢はもうちょっとあってもいいと思う。

森:そうですね。僕が見えてないだけってうわさもありますけどね。

中:いや、それはつかれてるから。しかもハーフの中の3人はトップにボールが入ったときどうしようってこと考えていつも動いてるってこと明らかに分かる。だから森岡が持ったボールをまず受けてFWに与えようて意図があんまり感じられないのね。その辺はやったほうがいいんじゃないかなって思う。

森:そうですね。それは選手間の話合いだと思うし。ただ練習でやってることを僕らは今、ここの後ろからの組み立てやっちゃってるから。

中:最初に、要するに立ちあがりから敵のDFの裏にボールが出れば、みんな背後意識するから、若干後ろには下がるから、森岡、服部の球だしする時間的余裕もでてくるっていうのもあるよね。そうすると中盤にも出しやすくなるっていう。

森:今は攻撃の選択肢が明らかに少ないですからね。

中:それはやっぱりひとつの課題ですよね。あと僕が思うのはやっぱり中盤がたてに引っ張って、トップが受けに来るとかね。DFがトップに落としたボールをボランチから上がった中盤へと、縦と横のポジションチェンジをしていいと思うんだけど、攻撃については。そうしないと相手のレベルが高いから崩れない。

森:崩れないね。ただ、本当に、僕なんかディフェンスラインが持って。本業はディフェンスですから。僕らが持ってる時間の方が長かったと思うんですよ。

中:長い。間違いなく。前の選手がボール持ってる時間、ほとんどなかったと思うんですよ。DFの三人がボール持ってて、服部選手も西澤選手狙って何本ももパス出してるんだけど、

森:20、30mのパス、もっとあるかな。40mぐらいで、ぴしっといいボールっていったら、それなりに構えていけるわけじゃないですか。

中:うん。モーションも大きいから相手に読まれるよね

森:というのもあったし。だけど個人的にはもう少しなんかやれたなっていうのは感じてるんで

中:自分としてはボールを横に動かしたりして、相手のコースを変えて

森:コースを変えながら運ぶだけでも、コースは空いただろうし、中盤の人間とちょっと話をして「もう少し受けてくれよ」っていうのも1つだっただろうし。ディフェンス面では本当腹が立つほど何もしてないし。まあジダンにスコーンと抜かれたのと、ジダンにファウルしたことくらいしかおぼえてないぐらい、ほんとに。

中:立ちあがりにジダンが、。キーパー出たところ胸でトラップして、その後にこのあたりでジダンにキックフェイントで、すこってかわされた時あったじゃないですか。それだと思うんですけど。

森:削ったのはあったんですけど

中:削ったのあった。その前に一発スコーンとかわされたのあったんだけど、それぐらいしか覚えてない感じ?

森:あんまり覚えてない。球際にいけてなかったなってのは、本当に、うん。

中:それはグラウンドのこともあると思うしね。あとはやっぱり球離れが速かったっていう二つの理由があると思うんだけど。今ちょっとこのウイングバックがボランチタイプの選手だっていうことがでたんだけど、

森:いやだから僕はそれ、良い悪いを抜きにして、もちろんその、この間みたいなメンバーでやりましたってなったときに、明神なんてすごい能力高いわけじゃないですか。どこでもやれて。

中:守備意識もあるし、攻撃もできるし。

森:だけど慣れてないポジションていえば慣れてないんで、そういう風に戦うときに、そのメンバーでやるときには全部のお互いの特徴を活かしてやらなければいけないわけじゃないですか。じゃあどういうふうにしようかっていうの毎回毎回つきつめなきゃいけないと思うし。

中:選手間でもっとこう…

森:選手間でもそうだし、監督とのコミュニケーションもそうだし。でもやっぱり裏がなかったら怖くないと思いますよ。ディフェンスは。

中:裏のスペースにこなかったら怖くないと思うよ。これは違う選手に聞いたんですけど、トルシエが最初のゲーム、というか試合とかミーティングの中でウイングバックを、例えば左側が中村俊輔だったら高い位置にかいてるっていうの聞いたんですけど。

森:そうですね。俊輔のほうちょっと高めかもしれないね。

中:そういう風に書いてるときは、意図的に右はちょっと低めで、左は高めでかいてるっていう、トルシエがかいてるっていうの聞いたことあるんだけど、それは事実なんですか?

森:攻めの割合は俊輔のほうが多い。だから明神はバランスとってくれよって。

中:じゃあさっきも言った通り、僕の中では例えば服部選手が左サイドいって、松田選手と森岡選手が今度(スペイン戦)だったらモリエンテスを二人で見て、明神選手を左サイドの中盤を完全に見晴らせてね。これでやったら迷いがなくなるんじゃないかって。中盤に関しては…要するに左肩上がりでね

森:オリンピックの時はアメリカ戦であまりにもきつかったから、酒井を右サイドに完全にひかせて、そういう感じでやったんだけど、その時は試合の流れでやったときは、中盤でちょっと乱れたっていうのはありましたけどね。

中:その時は例えば2トップ(高原・西澤)という布陣でやるときはある程度右サイドは高原が見るなりしてね、西澤でもいいんですけど。中盤のつきかたもボランチに対して中田がいって、上がってくる相手をある程度見てるから、チームとしては左肩上がりの3-5-2みたいな形になると、バランスがよくなると思うんだけど。

森:そうですね。毎回だからそういう風に、例えば逆のパターンがあったとしてもそういうのうまく移行できるかっていうのは難しいところだと思うんだけど、立ちあがりからそれをやるんだったら、ただ単に4バックにすればいいことだから。そうはならないと思うんですよ、やっぱり。

中:ある程度こういう風に決まってると、スペインとかフランスとかレベルの高い相手のときに、安心感はあるじゃないですか。最初から「どうしよう」っていう…

森:まあそうですね。その辺は僕らも悩みどころなもので…

中:悩みどころですよね。だから例えば両サイドを3バックの三人が臨機応変に5バックなるっていうのは多分選択肢の中にあると思うんですけど、両サイドのウイングバックに負担かけたくないよね。ディフェンダーとしては。そうするとなるべく高い位置でプレーさせてあげたいな、と。で、なるべくDFがマークについてあげたいな、という気は絶対あると思うんだけど、そこらへんに対しては、前とのプレッシャーとの兼ね合いもあるから難しいとは思うんだけど。

森:次の試合はどうなりますかっていってもやってみないとわからないですよね。

中:始まってみないとわからない。その微妙な位置どりっていうのは。例えば試合の始まる前に、明神とかと「じゃあ今日、最初はちょっとやってみて、やばかったらちょっと引き気味にやってみてよ」ってそういう話合いは試合の中とかで

森:もちろんそうだし、個人的にはどんどん選手と監督とのコミュニケーションも、ただ言われるからやるっていうんじゃなく、言っていかなきゃいけないとは思うんですよ。来年にむけてみんな日本代表に残りたいっていうのもあると思うし、ポジションをつかみたいっていうのもみんな思ってるだろうし。その辺は微妙にちょっと難しいところだとは思うんですけどね。だけどまあ意見を言えるときには…自分が納得しないままプレーをして、評価が落ちてくるんだったら、きっちりと話したほうがいいと思うところもあるからね。僕からすれば。

中:それをやればいろんな意味でチームが円滑に動くと思うし、それがひいては、チームが勝つことが個人の選手の評価の高さにもつながると思う。

森:そうですね、やっぱり。ただまあ本当にトップチームの相手とやるときには、試合終わった後に服部とか松田とかと話してたんですけど、なりふりかまわずひいて守って、戦術うんぬんではなくどうだこうだというのは抜きにして、しっかり守るところから入らないと、我慢しないといけないのは本当に多いと思うんですよ。何言われようが。この間は2点取られた後も攻めちゃったけど、あの時とかも1回我慢して、我慢して。そうしたらまたちょっと違ったかな、とは思うし。

中:逆にいうと、ひいたほうが前に飛び出すスペースは限りなくあるわけでそうすると崩しやすいっていうのありますよね。たとえば、ひかれた相手に対して、ここで森岡隆三がボール持って探してるっていうのは限りなくチームにとってよくない状況だよね。それよりもひくならひいて、自分達の網に入ってきたときにつかまえて、ボールを取ったときにチーム全体でスペースのあるところに攻めあがるっていうほうが強い相手には有効かもしれないよ。

森:そうですね。この先にトレーニングなり、ミーティングなりトルシエがどういう風に、スペイン戦にむけてどういう戦い方をするかっていうのはまだ、あさって、しあさってにならないとわからないじゃないですか。代表の練習始まらないと。まあそこからですよね。

中:スペイン戦にはある程度、誰が誰をつかむっていうのをつかまないと、またラウルに関しても、左サイドの上がり目の中盤、まあ中盤が台形で来ると思うんだけど、台形の中盤に対しても厳しくなる可能性が高いじゃない。だからある程度誰が誰をつかむかっていうこと決まってくると、楽なんじゃないか、と。若干やっぱり左、明神選手が大変だったらひきめみたいな感じでやれば、ラウル選手にももうちょっと、稲本選手がケアすれば、最終ラインの二人が一人を見れば、チームとしては。で、しっかりひいてやればすごくバランスよくやれると思うんで。そういう風になれば当然、先に点を取られなければチャンスも出てくると思うんですよ。

森:そうですね。それは確かに。うーん。ただ本当に決めるところ決めてきますからね。しっかりやらないと。