遠藤:1番こだわっている球種というのは。

黒木:得にないですけどね。こだわりというのはないです。ありきたりですけどボールに魂を入れて投げるということじゃないですかね。

遠藤:その、「ボールに魂込めて投げる」っていうのって、昔からやられてたのですか?

黒木:はい。やってましたね。昔っていうか、社会人のときですかね。ある先輩の投球をみて、それから一つ皮をむきたい、殻を破りたいという気持ちになって、そういう投球になったんです。

遠藤:聞いた話によると、130キロしかスピードがでなかったのが、一週間くらいで145キロになったと。

黒木:それはちょっと大げさに書きすぎかな。と思うんですけどね。ただ、うん、近いぐらい突然変わりましたね。投げ方によって。

遠藤:それは何があったんですか。その一週間で。

黒木:ま、投げ方もあるだろうし、体力というか筋力をつけたっていうのもありますけどね。やっぱり自分の体にあったフォームでなかったわけですよね。130キロそこそこしか投げれなかったっというのは。それはやっぱ投げるフォームなり、力の入れ具合とかね、そういうものを考えて、それを一週間、一週間とはいわないんですけどね、もう何ヶ月ぐらいもうずっとやってたんですけど、それが突然スピードが上がったという感じです。体が、足だったら大体四等筋だけ使って投げるのか、全部の筋肉を使って投げるのかっていったら、全部の筋肉使ったほうがやっぱり強いじゃないですか。そういうもんだと思うんですよ。


遠藤:その中でも、これはっていう1番のポイントってあります?

黒木:左手の使い方じゃないですかね。

遠藤:やっぱり、左手の使い方。

黒木:はい。僕は左手の使い方だと思います。

遠藤:どういう感じで。

黒木:僕は引っ張らないんですよ。(やってみせる)

遠藤:僕、ピッチャーやったことないんでわからないんですけど、普通は。

黒木:普通はこういって、こう一本背負いで投げろってよく言うじゃないですか、これは左手を引くってことでしょ。僕、引くと駄目なんですよね。

遠藤:黒木さんの場合は、

黒木:僕の場合はここ(左胸の前)で止めるんですよ。左手を、こうやって。

遠藤:普通は引くのに、黒木さんの場合は止める。

黒木:だから胸の張りを投げる瞬間に張るっていう感じですよね、イメージは。だからよく言いますよね、人を叩くとかいうときに、こうやって(左半身を流して) 叩くと弱いけど、こうやって(左半身を止めて)叩くと強いとか、よく言うじゃないですか。それがやっぱりヒントなんですよね。やっぱり叩くのって真っ直ぐドンって突いたほうが強いでしょ。そしたらこの左手だと思うんですよね。左手でロックしてやって、ドンっていっちゃえば、ここの力が強いだろうってことだと思うんですよね。

遠藤:なるほど。それをピッチングに活かして、

黒木:うん、そうですね。またボールも見にくいと思うんですよ。引っ張ると開きも早くなるし。

遠藤:ああ、これじゃあ、おかしいわ。

黒木:投げる瞬間に力をいれて、その後も体を逃がしてやってくっていう感じです。力を。

遠藤:それが凄い時は、ブワーンと(反動で右手が上がるイメージ)なってしまう。

黒木:ブワーンとなってても、結局はここでこうやって止まって投げてるんですよね、僕の中では。ま、イメージですけどね。

遠藤:なるほどね。いろいろやっぱ考えてやってんねんなあ。

黒木:まあ、今のところ僕の中では、はまっている投げ方ですから、他の人がやってどうなのかなと思うし、否定もしないし、うん。

遠藤:黒木さんに合ったやり方ってことですもんね。

黒木:実際130そこそこの球が、いきなりそういう投げ方になって、144,5キロとかにね、7キロとかっていうふうなボール投げれるようになったのは、そのおかげだと僕は思ってますから。現に、僕の中では結果ちゃんと出てますからね。

遠藤:確かにそうですよね。黒木さんの球の回転って、すごいきれいな回転をしているって聞いたんですけど。軽くキャッチボールなんかさせていただいて、球の回転を。僕そこまでわからないと思うんですけど、実際感じたら、ウワって思うかもしれないんで。

黒木:いいですよ。開いて投げるやつと、止めて投げるやつの違いっていうのをちょっとやりましょうかね。

遠藤:あっ。大丈夫ですか。

黒木:はい。ボールが離れるポジションとか、見づらさも変わってくると思うんで。 ちょっとやってみましょうか。

<次回は、黒木知宏と遠藤章造、キャッチボール実践編!>