<1月16日、自主トレが終了したグラウンド。そこにココリコの遠藤章造が訪れ、黒木知宏の真髄に迫るべくインタビューを敢行。>
 

遠藤:自主トレ初めて見せてもらったんですけど。すごいみっちり練習していますね。

黒木:どちらかといえば、短期集中型ですよね。

遠藤:あれで短期ですか?4時間ぐらい。

黒木:4時間でも休憩も入れていますからね。2時間半から3時間ぐらいですけどね。

遠藤:基本的には今の時期は足腰中心にやっていますよね。年も明けて2001年、黒木投手のテーマをズバリ教えてもらいたいんですけど。

黒木:1番は、とりあえずケガをしないということと。今年1年間フルで投げるということ。と思いますけど。

遠藤:去年をふりかえって、去年自分の中でも満足していないんですか?

黒木:もう1つというか、全然ですよね。話にならないくらいの成績だったんで。

遠藤:去年いろんな年だったじゃないですか?オリンピックに出たりだとか。それをふまえて今年、ここはどうしようってありますか?

黒木:1つは開幕から春先ずーっと調子が悪くて、思うような仕事が出来ないし、チームを低迷させたのは僕のせいだと思うんですね。まず1つは自主トレからキャンプ春先オープン戦開幕するまでのトレーニングの仕方。まず、それを見つめ 直すことから考えましたよね。

 
 
 

遠藤:技術面では、どういったところが駄目でした?

黒木:正直、技術面はないと思いますね。やっぱり、精神的なものだと思うんですよ。先ほども言ったけど、僕がやらないといけない、僕が引っ張らなきゃいけない、そういう責任感が強すぎて、キャンプ中に肉離れやったり、怪我して調整不足でも強がって開幕投手いったりとかね、無理やり調整したり。そういうのありましたからね。そういうのさえなければ、それなりのことは出来たかもしれないし。

遠藤:精神的な面でいうと、去年、抑えで、二試合、点差開いてたけど、抑えてたじゃないですか。過去、抑えはいいイメージなくて、去年スパッと抑えた。 ああいうのって精神的になにか。頭からいかずに途中から投げて抑えられるのは、気持ち的なものでなにかあります?

黒木:正直、競ったゲームの抑えではないですよね。大事なゲームで投げさせられるような状態ではなかったから、本当に調整登板みたいな感じですよね。それだけスタッフとかが早く立ち直って欲しい意図もあっただろうし。

遠藤:そうですよね。それも確かにあったと思う。マウンドの上で、黒木流の工夫って何かあります?

黒木:うーん。頭では考えないようにしてますね。例えば、バッターが何を待っているのかとか、さあ今から何を投げるぞと頭で考えずに、おなかで考えるようにしてます。

遠藤:おなかで?それはどういうことなんですか?

黒木:うん、頭で考えるんですけど、頭で考えちゃうと、体の力が弱まるような気がするんですよ。やっぱりおなかでグッとこう、セット構える時、ここで考えてやると、ここに集中しますから、体からこう力が逃げないって。それはまあ、意識しますけどね。


 

遠藤:あと、千葉マリンとかで、風がすごいから、あの風を利用しろとかってよく言いますけど、それは何かやってますか。

黒木:基本的に、風の強い中で投げることは、練習してますけどね。ホームチームですから、他のチームに比べたら投げる回数多いですから、風を掴むのは他のチームの選手に比べたら僕らのほうが巧いと思う。変化球だけではないですよね、真っ直ぐにしたって、風を利用すれば凄い球投げられるし。

遠藤:なるほどね。あと、プレートの使い方が黒木さん流にあるということを聞いたんですけど。

黒木:うん。僕流というか、みんなやってるかもわからないし、やってないかもわからないんですけどね。

遠藤:どういう。

黒木:僕は、プレートの上にスパイクを乗せてるんですよ。

遠藤:えー、乗せてる?

黒木:例えばこうプレートがありますよね、みんなスパイクはこう下(プレートの前)にやりますよね。僕はこの上に乗せちゃうんですよ。乗っけて、スパイクの金具をこう前二本かけてひねって、こう後ろの金具をかけて、そういう感じでかけるんです。パっと見たら乗ってるような感じなんですよね。けっこうその時点でこう絞りが出来てるというかね。いいのかな、こんな全部ばらしちゃって。(笑)

遠藤:(笑)

黒木:ま、人それぞれの投げ方ありますからね。

遠藤:あ、上にのっけてる段階でひざが常に絞れてる。

黒木:うん、僕はそれで絞れてると思うんですよね。僕の感覚では。あともう1つは、どこの球場に行ったって場所は変わらないですよね。投げてるポジションは、プレートの上ですから、絶対変わらないわけでしょ。プレートの下に行けば高さが深いとかあるだろうし、浅いだろうし、それによってマウンドが合わないってでてくると思うんですよ。

遠藤:そうか!なるほど!

黒木:それとか雨の日とか、足場がぬかるむ日なんかは、下が滑るでしょ。だから滑らないようにプレートの上に乗せちゃうんです、僕は。

遠藤:そうか、そうですよね。なるほど、じゃどこ行ってもいっしょですものね。コンディションは。

黒木:というふうに、僕は投げているんですよ。ただ打者への距離は、スパイク1個分だけ損はしてますよね。ちょっとは損してますけど、そのリスクを背負ってでも、安定したプレートさばきというかね。プレートの乗せ方は大事にしたい。投げ始めが1番大事だと思いますから。