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| あの田中雅美が、シドニー五輪の全て、そして今後の進路について赤裸々に語った!涙を浮かべながらの1時間、ここに22歳の乙女の心がある… |
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オリンピックが終わってから今まで(取材日は12月18日)レースを振返ることはなかった?-- 田中雅美 しばらく見ていなかったです。11月に北海道の中学校であった歓迎会でオリンピックでの映像を流していて、そのとき初めて、自分の レースとインタビューを見ました。苦しい想いを思い出して泣けました。 でも(五輪では)インタビュー気丈に答えていたよね-- 田中雅美 頑張ってましたね。その時は無理して頑張ってるんでもなかったけど、今見ると泣いてたら答えられないという感じでした。 インタビューで「調子悪くない」って言ってたよね?-- 田中雅美 9月に入ってからは調整期で、体調もよくなってきて、練習の方もよかった。だからこのままいけるのかと思って。オリンピックで不安ばかり考えていてはいけないと思ってた。「調子いい」と口に出すことによって自分も調子よくなるだろうと思ってそう言ってたけど、7、8月に鍛えられなかった部分がレースに出ちゃったのかな。 具体的に鍛えられなかった部分は?-- 田中雅美 北海道でもそうですし、7,8月に中大でやってた練習も内容的にはいいものじゃなかったんです。「なんでこんなに体が重いんだ」そんな話ばっかりをコーチの雄介さんとしていました。 体重かったの??-- 田中雅美 重いし、自分の泳ぎが出来なくなってしまって、手と足がギクシャクって感じでした。いい時は、体が水の上に乗って浮いてるっていう言い方をするんですけど、それが沈んじゃってゆっくり泳いでるように見られるんですよ。でも私としてはすごい必死なんですよ。上から見た感じと自分の泳いでいる感覚が全然違っていて、なんでそうだったのか、いまだに分かりません。 その状況は7月くらいから感じてた?-- 田中雅美 うん、ミッションビエホフの大会が終わったぐらいからですね。 4月にすごい記録出したときに(日本選手権で、100M・200Mで日本新連発)向かうまでの感覚とは全然違ったもの??-- 田中雅美 決して順調に選考会まできたわけじゃなくて、調子は実際あんまり良くなかった。いつも通りの調整で体的には余裕があったけど自信を持って臨んだ大会ではなかった。優勝は出来ても記録は狙えないと思っていたけど、100Mの予選からすごくいい記録が出たので、このままいけるトコまでいこうって、勢いだった。でも今考えたら4月の選考会の記録に対して、いろんな気持ちの変化があって、「なんで記録出しちゃったんだろう」と、そういう風にしかいい記録を思えなかった。それが出たことによって、注目されプッレシャーがかかったし、全然いいことなかった。時間がたった今となっては4月の記録は「自分にもう少し頑張れということなのか?」と思えるようになった。今は世界に近づいた記録に自信を持っていいと思う。 4月に記録出した時は自分でどうだった??-- 田中雅美 ビックリした。その時は嬉しいし自信になっていた。結局はオリンピックで自分がどう泳ぐかだった。 |
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オリンピックに向かうには辛かった道だった??-- 田中雅美 そこで自信もってオリンピックでもいい泳ぎが出来たとしたら、いいものだったと言えるだろうけど、納得いかない結果で、その記録を出してしまいどうしても責めてしまった。出した記録によって良かったことなのか?自分を苦しめるだけだったのか? でもそれを思ったのも経験だと思えるようになったし、いろんな人の意見を聞けた自分も良かったと思っている。 報道陣も多かったけど、シドニーの会場に入ったときの感想は??-- 田中雅美 会場に入ったときよりも、プールに行った時は緊張と高ぶりがあった。取材の人に対しては、嫌だとは思っていなかった。注目されることは嬉しかったし、期待されることも嬉しかったけど、それを力に変えられなかった。逆に自分の中で、自分があまりに自分自身に期待したかったというのがプレッシャーになった。全米選手権とかも見て、記録が自分よりも速くないから絶対に勝ちたいと思いすぎた。 7月8月は精神的には良くなかったの?? -- 田中雅美 全然。きつかった。ダメな自分を取材の人には言えないから前向きな事を言うのがきつかった。 前向きなことを言うようにしてたの?-- 田中雅美 してましたよ。やっぱり。だから会場に入ったときも不安あったけど「今調子いいです」って言わなきゃいけないし、自分でもそう言っていないと弱くなりそうだった。 自分の弱さはどこに吐き出すの? -- 田中雅美 やっぱりコーチとかには言ってた。選手同士だと周りに影響与えちゃうから、それもあんまり。真剣に言ったのはコーチとかですね。 日記に書いたりとかは??-- 田中雅美 しなかったですね、今回は。しようかと思ったんですがネガティブな日記になりそうだったんで… 泣いちゃうぐらいの??-- 田中雅美 うん、そればっかりになるのも嫌で書かなかった。 お母さんの前とかで泣けた??-- 田中雅美 それはない。 1人で泣くの??-- 田中雅美 1人で泣くことはある。1人で弱さを見せられる人の前ではすごい泣いちゃう。親の前では、親を不安にさせちゃうから、あんまり見せなかった。小さい頃から嫌なことがあると1人でベットの中に入って布団の中で泣く感じだった。 いつも気丈に答えていたから偉い!-- 田中雅美 いやいや作ってたんですよ。(笑)私兄弟で一番下だから、本当は甘えたい。ただ今は、水泳ジャパンチームの中でも上だし、中大チームでも上だから、しっかりしなきゃって。本当は年上の人と一緒にいてついていくほうが自分としては楽しい。 中大ではそう言う立場??-- 田中雅美 みんなおんなじ学年という感じでわがまま言い合ってるから、その辺では重荷ではない。たまにジャパンチームとかで先輩とご飯食べに行ったりしたときには、楽だし、ホッとします。 |
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岩崎恭子ちゃんは弱さを見せられる一人?? -- 田中雅美 うん、そうですよ。だってオリンピックのレース前になんとなく、どうしても恭子ちゃんに会いたくなって探してました。カメラで撮ってましたか?ずっとすれ違いばっかりでなかなか会えなかったけど。100M予選、準決勝が終わって、次の日の決勝前にやっと会えて、その時、自分で調子が良くないのわかってたし、恭子ちゃんもそのことにたぶん気付いていて、会ったとたん二人とも泣いちゃいました。レース直前ですよ。2、3時間前。そう言う面で、弱さを見せられる1人です。 カメラで撮ってたよ、実は。ずっと探してたよね、恭子ちゃんを-- 田中雅美 そう、何か不安だったんですね、きっと。 大変だったね-- 田中雅美 あ、ヤバイ。(涙をこぼす田中)恭子ちゃんの苦しい時期に分かってあげられなかった。その時、自分は上を目指してやっている最中で、あんまり腹を割って話しが出来なかった。私が大学生になって、恭子ちゃんが第一線を引いたとき、そう言う辛さもあったという話しをしていたんです。辛さを共感してくれる人だったんで、して欲しかったんですね。たぶん。 調子が悪いっていうのは一本泳ぐとわかる??-- 田中雅美 わかります。一本目は朝1発目なんでわかりづらいけど、2本目で悟りますね。 4月の日本選手権の時は??-- 田中雅美 一本目のときにはそこまで調子いいとは思ってなかった。ただ、気持ち良く泳げていました。 平泳ぎって難しいんだね-- 田中雅美 そうですね。難しいですね。 <次回は、田中が語る今後の進路!> |