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インタビューはフランス戦から帰国後、すぐに行われた。前日スポーツ新聞の一面に踊った「俊輔、早く海外移籍!!」。世界王者に挑んだ「アジア王者」は、98年フランスワールドカップ決勝の舞台となったサンドニで、力の差をまざまざと見せつけらた。それも、圧倒的なまでに、、。2000年JリーグMVPに輝くなど、驚異的な成長を遂げた中村俊輔も、また、強い衝撃を受けて帰国の途についていた。果たして、レフティーがフランスで手にしたものは何だったのか?今、ここにその全貌を公開する! |
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Q:まずは終わったばかりのフランス戦についてなんですけど,5−0と言う結果、まずその感想… 中村俊輔(以下は中):ウーン…こんなに点差も開いたけど,それ以上の差を感じた試合ってのは,ええ…、代表で感じたことはなかったし、今までやったことがないゲームでした。 Q:自分が今まで,フランスってこれくらいと思い描いてた部分があると思うんだけど。 中:ウーン…。やっぱり全然違ったし、まあアウェーっていうのはあるかもしれないけど、あのグラウンドであんなに、普通にボール回しが出来て,みんな技術力が高くて…。それはやっぱり予想してなかったですね。 Q:試合始めてどれくらいでそれに気がついた?もう…すぐ?差というか。 中:うーん。やっぱり最初の方が、やっぱそういう…。最初でも感じて、それがまあ途中でボール回しが落ちつくかな、と思ったけど、ボールを後ろからまわしてる間に、だんだんプレッシャーかけられて、出すところなくなってっていう…のがあったんで、最初のが最後まで続いたって感 じで.ゲームが落ちつくっていう時間があんまりなかった。ずっと向こうの…うん. Q:正直それは、ショックだった?やってみて。 中:ゲームの中で修正できるゲームとは,やった事もあると思うんですけど、それもできないくらいの…。なんていうか、向こうの,そういう力みたいなものがあったんで、やっぱり誰かがケガして、むこうの○○がケガして、みんなで話とかするじゃないですか.で,こうしよう,見たいなのがあって,普通はだいたいねぇ、ちょっとペースがこっちになったりとか、そういう時間があると思うんですけど,それさえもなかったし…。ま、僕は途中で、半分しか出てないから。なんか、なにも。全部試合出て感じたわけじゃないですから。前半はそうでした。 Q:左サイドやってて、相手の7番のピレスがすごい高い位置で、ディフェンスラインに吸収されそうな位置にいたでしょ、俊輔が。 中:そんなことないですよ。中とか自由に動いてて、で、中に行ったなって思ったら、ちゃんとサイドバックから出て来たり、すごい流動的だったから…そういうのは感じましたね。 Q:PKのあのシーンだって、ジダン、ケアしてたもんね。ちょっとジダンが右に流れてきて、俊輔の前来て、ピレスが中にパぁっと入ってきて 中:やっぱボールも回すし,人もすごい動くから…。ボール持ってる間にも人も動くから、マークはつけづらいし、ボールは走るし。もっとキョロキョロしたりとか,連続してうまくしたりしなかったら…いけないと思 うし。ボール取りに行っても、やっぱ1対1の局面とか出てきたときに,向こうがちょっとボールをずらす技術があって、そこに飛込みに行っても、ぬかれるというより、かわされるという。ドリブルがみんなできるから、アタックに行けなかった。で、ずるずる下がれば向こうはどんど んパス回すし。まあ、いろいろ下がりすぎだ、とか言う人いるかもしれないけど、行けば回されるし、かわされるし。で、要はやっぱり1対1でかわさなければ、他の人がプレッシャーに行けるし、っていうか、そういうのは守備では感じましたけど…。ああいうグラウンドで、あっちのホームでっていうのは…の中でやるんだったら、むこうと同じくらいか、むこうより少し力がうわまってないと、あの雰囲気っていうか、あの試合ではやっぱり…勝ちにいけなかったと思いますけど。 Q:ハッサンU世の結果がちょっと頭にあって、みんな… 中:周りの人はそう言ってるだけで、そういうのは自信にすればいいと思うんですけど。やっぱり外国のチームとか抜く事は抜くし…あの試合で抜いてたわけじゃないと思うんですけど。ホームだし、向こうも。そういう国民の信頼得るために、みんな一生懸命やんなきゃいけなかっただろうし、出鼻を少しくじけさせる…っていうか、そういう意気込みでやったんですけど、まあ要は力がなかったっていう…まあでも、そういうのみんな感じてると思うし。プラスに考えたほうがいいと思うんですよ。 Q:そうだね。でも、世界王者とやれるってみんなすごい楽しみにしてた部分が大きいわけでしょ。それがやってみて、みんなちょっとアジアチャンピオンの鼻が折れたっていうか。 中:俺は別にそういうのないけど。やっぱそういうのはプライドもってやらきゃいけないってあるけど…アジアと世界じゃ…ちょっと違うと思うし.力つけばいいと思うんですけど。 |
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Q:その中でやってて相手のパスさばくジダンっていう選手いるんだけど、彼のプレー見て、どう思った? 中:別にジダンがいいっていうか、周りがいいからジダンが目立つだろうし、ジダンがいるから周りも目立つっていう感じ.ジダン一人にマンマークついても、多分他の人がうまく流動的に動くと思うし。あちこちにいるじゃないですか。そういう時に周りがどう気づいて、あいつはあっちにいるから、じゃあ俺はここに動こうとかっていうのが…ただ身体能力が高とか、速いとか、うまいとかじゃなくて、すごいサッカー知ってるっていうか、やっててそういう感じがしました。中でやったのと、ベンチで見てたのと両方。ベンチのときは冷静に見てましたけど。 Q:やっぱり…周りが上手い? 中:ジダンなんてサイドでぐらぐらしてても、かってにボールまわってくるし。ジダンに入ったらもう周りが走る…。あいつにボールが入ったら俺は必ずボールがくるんだっていう、そういう味方同士を知り尽くしてるから。みんなすごいポンポン、パスもあるし。そういうのがチームとしての完成度みたいなの感じましたね。 Q:俊輔、そういうの結構理想なんじゃない?そういうチームって。自分を活かして、相手を活かして、みたいな。そういう関係。 中:前のやっぱり理想っていうか…南米っぽくて、なんていうのかな…トップの下に、二人とか一人でも良いけど、○○がいて、で、その人を中心にサイドバックが駆けあがって、センタリングとか、ゲームメーカーがいてっていうのが、あれだったんですけど、全員がゲームメーカーっていう感じだったんで。新しいサッカースタイルっていうか、そういう感じだから。ファウルにもいけないんですよ。 Q:まあ足元の技術も含めてみんなが。 中:いこうと思ってもワンタッチで誰かに預けたり、その預けた人もゲームメーカーの素質っていうか、そういうもの持ってるから、普通にスルーパス回せるし、オールラウンダ−がみんなそろってるって感じ。で、まあ、あの中でジダンっていう選手は特別だと思うし。けど周りもやっぱり上手いっていうか、それに…俺はこういう選手だ、みたいなのないから。だから捕まえづらい。 Q:じゃあこのフランス戦っていうのは、俊輔のサッカー観ちょっと変えた? 中:そうすかねぇ。ゴールもできなきゃいけないし、守備もできなきゃいけないし、っていう感じになりましたね。俺はパスだけだとか、俺はドリブルだけだとか、俺はこういうタイプだっていう。何か時代じゃねーのかな、みたいな。全部できて、その中で俺はこれが得意だっていう感じ。だからサイドバックも上がってったら、サイドのフォワードみたいなプレーするし…だけど守備が出来るから、サイドバックの位置にいるだけでっていう感じで…全員がもう、そのポジション、ポジションにいった ら、そのプレーをしたりとか、中盤にいったらみんなゲームメーカーみたいな事も出来るし…だからなんかアタックできないんですよ。 Q:みんなこの試合って自信なくしたとか、何とかって言う人もいるかもしれないですけど、俊輔にとっては、今後のサッカー人生考えたら、凄いでかい収穫だった? 中:出ないよか、出たほうがいいし、負けるより、勝ったほうがいいと思うけど…ああなった以上まあ、そう考えるしかないし。自信みたいなものを失っても、またつけるために努力すればいいし、うん、別に後ろに後退したっていう気はしない。 Q:その負けから… 中:練習に…勝てば、もっといい試合したら、もっとなんか違う課題が、高い課題がでるけど、下がってはないと思う。 |
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〜後編に続く〜
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