|
武内絵美:最近若手の選手で、海外移籍を希望される方って増えてると思うんですけど?
中西哲生:あの、僕は非常にいい事だと思います
武:具体的にどういう所がいいんですか?
中:やはり、日本のJリーグのレベルがですね、最初の頃に比べると間違いなく落ちてると思うんですよ。
別に選手が悪いわけじゃないですし、取り囲んでる人間が悪いわけじゃないんですけど、外国人の選手のレベルが以前はものすごく高かったんですよね。世界のトップレベルの選手が来てて、そういう選手が近くにいてみんな上手くなっていったわけですよ。
たとえば鹿島にいる小笠原選手、っていうのもビスマルクという素晴らしい選手が近くにいるんで彼のプレーを盗んでレベルアップしてるわけですよね。で、ジュビロにいる藤田俊哉選手、彼もオランダ代表だったファネンブルグという選手を見て、ああいう、より小さくて巧くて存在感を出せる選手になってきたわけですよね。
そういう意味では海外に行って、高いレベルの中でサッカーをしていくという思いが増えたっていうのは凄くいい事だとは思いますけどね。
武:やっぱり、海外の強い選手と当たることによって、得られる事がいっぱいある…
中:あります。それは当然あります。
武:海外に行くにしても、若いうちに行くのと、ある程度国内で経験を積んでから行くのではどちらの方が………
中:あの〜、それは人それぞれによって違うんで、一概には言えないですけど。やっぱり若ければ若いほど、試合に出るチャンスはなかなか難しいですよね。逆に言うと、ある程度年齢がいってて、日本で実績があってね、代表選手として向こうにいくんであればある程度優遇して迎えられますけどね。試合に出られるところにいく事が一番大事だと思います。
武:そうですよね、海外に行っても試合に出られなければ…。
中:試合に出られなければ、まず問題になってくるのがコンディションの維持。あと自分自身の試合感っていうのを徐々に失っていきますから。そういった意味では試合に出られるチームに行くってことがまず第一条件でしょうね。逆に、僕が武内さんに聞きたいのは、たとえば『じゃあ来週から1年間海外に行ってください』と自分が言われたら困りますよね。
武:こ、困りますね。急に言われたらね。はい。
中:何が一番困りますか。
武:まず、もちろん、ん〜…
中:言葉じゃないですか?
武:言葉、生活面ですね、はい。
中:それと全く一緒なんですよ。サッカーだけ考えてればいいわけじゃないんです。
だから海外に行くとなった瞬間、自分がまず一番何に困るか、やっぱり言葉ですよね。
僕も子供の頃アメリカに住んでたことがあるんですけど、じゃあ海外に行きます、でもその頃子供だから父親がいてね、母親がいるからなんとかなるだろうって思いで行きますけど。例えば1人の大人がね、一人の価値を認められて、高いお金を払ってチームに獲得するとするじゃないですか。そうするとすごく大人として扱われるんで、言葉の問題ってすごく出てくると思うんですよ。まず私生活での言葉の問題、それは隣に通訳の方がいてくれれば全部通訳の人が聞いてくれる。それで何にも問題は起こらないんですよ。
例えば買い物に行ったりとか、自分が生活していく上で、レストラン行って食事を注文する時とか。そういう時は通訳の人がしてくれるから別にそれは問題ないんですよ。一番問題なのは、その、選手とコミュニケーションが取れないことが問題なんですよ。
当然私生活、があるわけでみんなね。サッカー場だけでいろんなことが行われるわけじゃないので。そこで、それ以外の所で、いろんなことが、例えば起きるわけですよ。普段から選手と一緒に食事したりとかね。一緒にお茶を飲んだりとか話したりすることで選手とのコミュニケーションがどんどん上がっていくじゃないですか。そういうことがものすごく問題なんですよね。海外に行ったときは。 |