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昨年の12月17日、佐藤ルミナの敗戦を目の当たりにした瞬間、直感的に思った。
『この人がチャンピオンになるまでを追いかけたい』と。
自らの力で伝説を作り上げ、修斗をメジャーシーンに押し上げてきた男、佐藤ルミナ。
そんな男が、2度もチャンピオンシップで敗れたら、どんな気持ちになるだろう。 最初の取材に向かう道中で考えたのはそんなことだったと、今でも記憶している。
しかし、実際に顔を見せた彼は、ごく普通、いや、むしろ明るい表情でその場にいた。 それはさらなる未来を見つめ、そこに向かっているかのように前向きな佐藤ルミナの姿。
ハードな練習で、カメラが邪魔な日もあっただろう。それでも気を遣ってか、カメラに向かってジョークをとばす姿があった。インタビュー中、当の昔の敗戦の記憶に触れてしまっても、
表情ひとつ変えず、誠実に答える姿があった。そこには、自ら誇示しなくても、内から湧き出るような静かなる『強さ』を身につけた佐藤ルミナがいた。
そんな表情が詰め込まれたこれまでの取材テープを見返すうちに、僕はこう思った。 『佐藤ルミナは、まだまだ強くなる』と。
8月26日の復帰戦で自身初の判定勝ちを収め、ランキング4位・佐藤ルミナはその後 2位にランクを上げた。
3度目となる王座挑戦は、もう目の前である。
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