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保住直孝取材裏話 |
「走るっていっても遅いですよ」と言いながら、いざ走り出すと流石に速い。始めは付いて行けたものの、案の定途中で保住選手とはぐれてしまった。 失敗した。保住選手の自宅の住所は控えておらず、携帯の番号も聞いていない。 周りは入り組んだ住宅街。 保住選手の自宅にどうしても辿り着けない。 1時間さまよった挙句、諦めかけてデニーズに入る。 注文を終えた頃、携帯が鳴った。 「今何処にいるんですか?1時間探してたんですよ」。何と保住選手は名刺を頼りに会社に電話し携帯番号を聞いて電話をかけてきてくれたのだ。 「迷っちゃって…。今、デニーズにいるんですよ」、「ああ、あそこのデニーズですね。今から車で行きます」。 車で迎えに来てくれた保住選手。 ビッグマウスと呼ばれる男は、礼儀正しい男である。仲間を大切にする男である。 ロードワークの一件以来、保住選手は裏切れないと思った。 誰を裏切って来たという訳ではないが、保住選手は裏切れないと感じた。 東洋太平洋王者となった今、周りは世界挑戦を期待する。 だが、挑戦してもしなくても、世界チャンピオンになってもならなくても、保住選手は十分人間的に魅力のある人物である。 ちなみに本人は「絶対無理です。かないっこないです」と言っているが…
【テレビ朝日 Get Sports ディレクター 谷口 治】
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