前週(2月4日)より始まった、ソフトボールバッテリーキャンプ編。打ちきられなければ、4回シリーズで放送する予定である。
 その中で、今回のシリーズには惜しくも入らなかった選手の話をしよう。

 10年以上の歴史を誇るバッテリーキャンプ、今回が初参加の五輪代表選手がいた。その名は斎藤春香、30歳。去年何度も番組で取り上げた、代表きってのスラッガーである。

  はじめて取材をした昨年春以来、彼女の探求心には、いつも感嘆させられてきた。いつも「納得がいかない」「勉強になる」が口癖。 9月放送の「希望子午線」で紹介した、彼女の夜の素振りシーンがその象徴である。40分間の素振りで、春香さんは全て、相手投手をイメージしながら振り続けた。「あのピッチャーの何球目はチェンジアップ、あのピッチャーの何球目は・・・」と、舞台ブラックタウンでの戦いを考えながら・・・。

 そんな春香さんの最近気になる言葉。

「現役のうちに優勝できてよかった」「来季は続けます」。

 

3月で31歳になる。アトランタの雪辱も果たし、悲願だったメダルを手にした。
故郷で待つ盲目の母にも、それをかけてあげた。
所属チーム日立ソフトウェアも入部当初は3部リーグだったが、
去年初優勝を果たした。アスリートとしては、はっきりとした目的の結実があった。
それだけに、もしかしたら引退してコーチ業に専念するのでは。そんなふうにも思われた。

 しかし、春香さんは(フィールドプレーヤーだが)バッテリーキャンプに現れた。

 星野昭先生が、チームの2番手投手入山を指導する様子を、真剣に見つめる。まるで自分はバットを持っているかのように。

 初日夜、地元静岡県榛原の歓迎会の合間を縫って、インタビューを敢行した。
 (キャッチャーの山田美葉さんには撮影を手伝ってもらった。ありがとう)

 春香さんはこちらの様々な質問に、包み隠さず答えてくれた。

 

 Q:やるべきことはやったんじゃないですか?
 春香:ひと区切りついてるんで、ありましたね。いろんな意味で経験できたんで、いろいろ考えました。けど、まだ自分でやり残したことがあったんで、選手としてももっと技術を高めていきたいし、まだまだ完璧じゃないから。もっといろんな部分で突き詰める部分があると思うんですよ。それをまた自分で練習して、それを後輩達に伝えていきたいと・・

 Q:今年の課題は?
 春香:自分の中で新しい課題に挑戦をしたいんですよ。バッティングについて新しい挑戦がしたいです。具体的にはいえませんけど、タイミングの取り方とか、技術面、精神面での新しい挑戦ですね。よく出るか悪く出るかはわかりませんけど。それができる日を狙っていたんです。今まで積み上げてきたもの、プラス新しい挑戦で、さらにレベルアップしていきたいです。

  約15分のインタビューで、彼女は今後のことや自分のあり方などを余すところなく語ってくれているが、それはいずれ「ベテラン達の選択編」で放送する予定である。ともあれ、斎藤春香は今年もがんばるらしい。

 キャンプ2日目。春香さんは突然、バッティングデモンストレーションをお願いされる。ほとんど身体を動かしていなかったため当初嫌がったが、みんなの期待に推され、やむなく山田美葉とともにボックスへ。

 やっていなかったとはいえ、そこは斎藤春香。ポンポンと外野に運ぶ。「すごーい」と周囲の熱も上がっていく。

 もどってきて、春香さんひとこと。「納得いかない。全然」。 斎藤春香は2001年も、引き続きバッティングを「探求」していく。