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天才という言葉がぴったりと来るアスリートにはそう出逢えない。イアン・ソープは天才と言う表現がぴったりと似合う、いやむしろそれ以上の言葉を探してしまうような青年だと思う。
地元でオーストラリアでは水泳は超高視聴率を誇るメジャーなスポーツ。お国ではスポーツ界を超えた大スーパースターなのだが、当の本人と言えばおごるところが全く無く、一度会えば好きにならずにはいられない好青年なのだ。
南原記者はそんなソープの本音を見事に引き出していた。何を聞いても本当に18歳?と思うほど、その答えはもう完全に完成されたアスリートのもの。
「強い人には勝ちパターンがある」と南原さんがいうとおり、ソープは世界水泳6冠達成とともに完全に自分の「勝ちパターン」を手に入れてしまったようだ。自分の作り上げた勝つためのスタイル、「勝利の方程式」がある。7日間、毎日出場する試合を楽にするための数ヶ月に及ぶ過酷な練習。レース前、全力を出すために行う独自のリラックス法。コーチとの信頼関係の中で作り上げる絶対なる自信。全ての要素がソープの中で組み合わされ、一つの方程式になり、勝利という答えを出す。その方程式を、南原さんに対して、「幕の内弁当」と表現できるところがソープのまた凄いところ。この青年は自分の「勝利の方程式」を解りやすいようにわざわざ日本語に直して表現してくれたのだ。日本風に言えばいろんなおかずやご飯が、絶妙に組み合わさった「幕の内弁当」とみたいなものですよと。この頭の良さには本当に舌をまいてしまう。
オリンピック金メダル、世界水泳6冠。水泳界の「頂点」にあって自分をまだ「100のうち『1か2』」といえる人は聞いたことがない。南原さんと共に最強のアスリートの心の中をかいま見れた大きな喜び。まだスタート地点にいるという18歳のソープがこれからどう進化していくのか本当に楽しみだ。
【GET SPORTS ディレクター 湯川桃子】
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