競泳:中西悠子×萩原智子 ハギトモ取材後記
「25歳になっても、まだまだ自分を追求している。」


2006年10月1日にオンエアされた
「25歳 究極進化論 中西悠子」
元日本代表スイマーの萩原智子さんによる取材後記です。
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8月17〜20日にカナダ・ビクトリアで、
パンパシ水泳2006が行われました。
アメリカ、オーストラリアなどの強豪国も参加した
言わば、世界水泳前哨戦です。

水泳ニッポンは、42人のスイマーを派遣、
過去最高である24個のメダルを獲得しました。
更に、日本記録が8つ誕生し、
それぞれの成長ぶりを垣間見ることができました。

その中でも、苦しみの中にあった、
とあるベテラン女性スイマーが、
チャレンジ精神によって、大きな壁を乗り越えました。

女子200mバタフライの中西悠子選手、25歳。

2003年世界水泳バルセロナ、2004年アテネ五輪、
そして、昨年の世界水泳モントリオールと、
世界大会で3年連続、銅メダルを獲得している彼女。

しかし、その道のりは決して、
順風満帆だった訳ではありません。

昨年の世界水泳では、銅メダルを獲得するも、
不安が彼女を締め付けたのです。
上位2名とのあまりのタイム差に、このままでは、
世界と戦うことが難しいと判断し、覚悟を決めました。

 
「努力は裏切らない。」

それは、長年、体に染み付いている
フォームを改善するという選択。

フォーム改革は、ベテランになればなるほど
勇気がいることです。実際に私も挑戦したことが
ありましたが、途中でリタイアした経験があります。

忍耐強さと信頼感が十分でないと、
改革することは難しい状況です。
指導者との二人三脚があったからこそ成功したのです。
その結果、今までよりも抵抗の少ないフォーム、
そしてスピードを手にすることができました。

今大会では、日本記録を約1秒半更新、
銀メダルに輝きました。

レース後は、何度もガッツポーズをする中西選手の姿。
その目には涙があふれ、やってきたことが間違いでは
なかったと証明した瞬間でした。

「努力は裏切らない」とつくづく感じたレースでも
ありました。25歳になった今でも、
世界へ貪欲に挑戦する姿、尊敬します。
大切なことを教えてくれた中西悠子選手に、
感謝の気持ちでいっぱいです。

[萩原 智子(はぎわら・ともこ)]
シドニーオリンピック 200m背泳ぎ4位入賞。
「ハギトモ」の愛称で親しまれ、100メートル自由形、200メートル個人メドレー、200メートル背泳ぎ(現在は伊藤華英選手が保持)の日本記録を持つ万能スイマーとして活躍した。現在は、水泳解説や水泳指導のため全国を駆け回る日々を続けている。
その活動の様子はブログ 「萩原智子のいつも笑顔で」でチェック!

【編集:GET SPORTS ディレクター 山西雄大】



 
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