競泳:内田翔×南原清隆 Chapter 1
「意識は特にしないで、自分の泳ぎって思っていたら今の泳ぎになっていました。」


唯一とも言える弱点『自由形』の強化に取り組みだした水泳ニッポン
2006年1月、運命のカギを握る若きスイマーに南原清隆が直撃した第2弾!
そのインタビューの全貌を明らかに!

南原清隆(以下、南):お願いします。まずは、もう世界水泳で僕は見てたんですけども、世界水泳は行ってみてどうでした?

内田翔(以下、内)はい、やっぱりすごいところだったのでちょっと僕がこんなところ居ていいのかなぁみたいな感じでしたね。

南:あ、ちょっと居場所がなかったですか?

内:はい。居場所がなかったっていうか若干怖気づいたっていうか、あの雰囲気にのまれたっていうか。

南:召集所?

内:召集所もそうなんですけど、あぁやっぱり北島さんとかのメンバーを見て、あぁ大丈夫なのかなぁとか、はい(笑)

南:げ、北島康介だ!と思ったんですか?

内:や、もう北島さんだぁとか、はい。柴田さんだぁとか思ったりとかしてて(笑)

南:わぁ金メダリストだぁとか?あ、そうですか~。

内:大丈夫かなぁみたいな(笑)

南:でも合宿で一緒になったりするでしょ?話しなかったんですか?

内:あぁしました。すごい、いい人でしたね(笑)

南:じゃあ世界水泳は緊張しっぱなしだったってことですか?

内:初めは緊張していたんですけど、大会が近づくと、あの松田丈志さんとまぁ北島さんにも言われたんですけど、あんまり緊張することはないって言われたので、それを言われて、肩の荷は少し、おりましたね。

南:内田おまえ緊張しすぎだよみたいに言われたんですか?

内:あ、はい。なんかガチガチになっていろいろ練習前に、やっぱ試合前とかにいろいろ先輩のためになんかしなきゃとか、一応。1番下だったので。

南:泳いでみてどうでした?

内:気持ちよく泳げましたね。

南:あ、気持ちよく泳げたんだ?本番の時は緊張しなかったんですか?

内:本番の召集所ではやっぱり、周りの、グラント・ハケット選手(オーストラリア)やフェルプス選手(アメリカ)とかが普通に行き来してるので、あ、やばいとか。

南:ハケットだ!とか?

内:フェルプスだ!とか。

南:おい、話してるよみたいな?どういう感じなんですか?周り、マイケル・フェルプスとか、ハケットは。

内:僕から見てですか?や、なんかまだ雲の上の存在だったんだなぁみたいな。

南:召集所ではどんな感じでいるんですか?

内:なんかすごいナイーブなカリカリしてる感じもなく平然としてたので、あこれが世界の壁かなみたいな、はい。

南:あ~、世界の一流ってこんな感じ、普通にしてるんですか?

内:はい普通に、普通の顔してウロチョロしてたので、あぁ普通なんだなぁって(笑)

 

南:へ~、その時はやっぱり自分は普通じゃなかったんですか?

内:もうバクバクでした。

南:バクバク!?でも、なんかそれを経験したら結構日本に帰ってきてからも他のことでもあんま驚かなくなってんじゃないですか?

内:そうですねぇ。驚かないっていうかやっぱり今回世界水泳のあの世界の舞台が初めてだったので、自分、まずとりあえず自分の力を出せるかっていうのと、でどれぐらい、どれだけの力でフェルプスとかに通用するのかなっていうのもあったから、やっぱりそれはプレッシャーを感じないで泳げたっていうのもあるし日本に来ればやっぱり自分にプレッシャーかけて…

南:勝たなきゃ!とか?

内:はい。ここで勝たなきゃ、やらなきゃダメだとか。だから違った意味で日本では緊張するし、世界の舞台でもやっぱいろいろ緊張しますね。

南:世界とやって自分の位置がわかったと思うんですけども、こう足りないところとかこれから伸ばしていきたいところって明確になりました?

内:そうですね、なりましたね、今年で。やっぱりまだ力不足だったっていうのがあったし、とにかくまだ経験、北島さんみたいにまだ世界水泳とかで金メダルとか取ってないし、はいまだ経験不足だなって自分に身にしみるほど感じましたね。

南:技術的には何が自分には足りないとか感じました?体力面とかでも。

内:体力、やっぱり力不足、力、ウエイトとかじゃないと思うんですけど、何が足りないかってよく考えるんですけど、まだ自分の持っている力が足りないのかなって思いましたね。とにかく力かなぁって。

南:泳ぐ水進力ってことですか?

内:そうですね、パワー、パワーだと思います。

南:先ほどあのずっとコーチに聞いたら、まだウエイトは本格的にやってないんでこれからどんどんそれをやればもっと伸びるだろうっていうふうにおっしゃっていましたけども。

内:はい。まだあんまりやってないので本当に。ちょっと楽しみなところはありますね。

南:楽しみなところは。これから自分がまだねぇ、伸びしろがあるってことですからね。あのフォームがやっぱり独特っていうか日本人の中ではヨーロッパ人みたいにこうちょっと浮いた感じでやるんですよね?それを意識してやっているんですか?

内:や、あんまり意識はしてないですよ。意識は特にしないで、とにかく自分の泳ぎって思っていたら今の泳ぎになっていました。

南:自分の泳ぎの特徴っていうのはどういうところなんですか?

内:特徴はやっぱりみんなが言ってくれている通り上体、ボディポジションが誰よりも高いって言われてましたね。それぐらい、たぶん(笑)あと、後半の強さ。

南:後半の強さ。後半はどういった強さ、粘りってことですか?

内:粘りですね。またラストスパートかけられるみたいな。

南:ということはやっぱりスタミナが。スタミナには自信があるんですか?

内:スタミナには、はいあります。

南:ここ1番にかける時の集中力がすごく発揮できる選手だってこうコーチおっしゃっていたんですけども。

内:はい、よく~言われますね。自分でも思ってます。

南:ここ一番、俺できるんじゃないかって思うタイプ?

内:思うタイプです、はい。

南:あ~、一緒です。

内:本当ですか(笑)

南:だから生放送とかそういうのあれば、あぁ、大丈夫っていうのはどっかで…

内:はい、なんかありますよね。なんかできるような気がするみたいな(笑)

内田翔×南原清隆 インタビューChapter2に続く

内田翔(うちだ・しょう)1987年9月28日、群馬県榛名町生まれ。0歳からベビースイミングを始めて、榛名中3年で全国大会400メートル自由形優勝、200メートル2位。2005年のジュニア・パンパシフィックでは4種目で優勝。男子最年少で参加した世界水泳モントリオールでは、800mリレーで日本記録に貢献するなど、大活躍。182センチ、75キロ。

【編集:GET SPORTS ディレクター 山西雄大】



 
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