■ アイスダンス・ペアの楽しみ方
アイスダンス・ペアの楽しみ方
 国別対抗の見どころのひとつは、人気のシングル種目だけではなく、チーム戦のためペアやダンスの結果がメダルの行方を左右する、という点。ペア?ダンス?まるで注目してこなかったよ……などという人も、シングルにはないパートナーシップの美や、3次元的に広がる技の豪快さをぜひ堪能してほしい。

 まずペアは、基本的にシングルの技を男女が一組になって見せるもの。ジャンプやスピンなどをふたり同時に行うため、シングル種目には必要ない、ふたりの同調性も見どころとなる。また男性が女性を放り投げるスロージャンプ、頭上高く掲げるリフト、ツイストリフトなど、ペアならではの技はフィギュアスケートで最もアクロバティック。ぜひ生で観戦し、美しき氷上のサーカスに酔いしれてほしい。

 注目選手としては、トリノ五輪の銀メダリストでもある中国のチョウ&チョウ組、そして今年、世界選手権で初のメダル(銅)を獲得した川口悠子&スミルノフ組。チョウ&チョウは想像を絶する迫力の技を繰り出しつつ、東洋的な美をしっとりと氷上に描き出せるペア。川口&スミルノフはペアではまだ2組しか成功させていないスロー4回転ジャンプが武器。技術的にも高度なレベルを保ちつつ、演劇性に富んだプログラムも披露してくれる。

 もうひとつのカップル種目、アイスダンス。こちらは実はシングルともペアとも大きくかけ離れた、フィギュアスケートの中でも異色の種目だ。ジャンプなどを一切跳ばないため、シングルよりもむしろ競技ダンスに近い。しかし陸の上のダンスには出せないスピードにのり、男女が呼吸をぴったり合わせ、多彩なステップやダンスリフトなどを次々に繰り出す様は圧巻。新採点システムが始まってから、アイスダンスも難度の高い技に注目が集まることが多くなったが、この種目の真骨頂はやはり滑り、スケーティングの美しさだろう。優雅な足さばきに乗り、それぞれのカップルが描くラブストーリーや、歴史絵巻、さらには哲学。氷上の舞踏会は毎シーズン、進化を続けている。

 注目したい組は、世界選手権表彰台常連のベルビン&アゴスト(アメリカ)とバーチュー&モイア(カナダ)の2組。ともに北米のカップルだが、元は同じロシア人コーチのもとで育ったため、ロシアンスケートの確かな技術と、北米人の華をともに持ち、若くして頭角を現してきた2組だ。バンクーバー五輪での引退も視野に入れているベテランのベルビン&アゴストと、バンクーバー、ソチ両五輪での活躍が期待できる若手のバーチュー&モイア。世界選手権ではベルビン組が銀メダル、ヴァーチュー組が銅メダルだったが、今季2度目の対戦、どちらに軍配が上がるだろうか。



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