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■ ’08-’09シーズン、フィギュアスケートグランプリシリーズの見どころ
(1)今年はなんといっても男子シングルが面白い!

4回転ジャンプは男子シングルの華
 フィギュアスケートといえば女子?いやいや、今世界が注目しているのは、バンクーバー五輪に向けてますます盛り上がる、男子シングルの戦いだ。
 今から7シーズン前、2002年のソルトレイクシティ五輪では、アレクセイ・ヤグディン(ロシア)、エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)というふたりのスケーターによる金メダル争いが大きな話題となった。ヤグディンとプルシェンコは、ともにフィギュアスケートにおける最難度の技、4回転ジャンプを得意とし、アスリートとして史上最強。と同時に、雄々しくドラマチックな表現を得意とするヤグディン、音楽に合わせて複雑なステップや振り付けを陸上のダンサー以上に華麗に見せるプルシェンコ、パフォーマーとしても超一級のふたりだった。スポーツと芸術の融合するフィギュアスケートで、史上最強の二人による史上最強の金メダル争い――もうこんな戦いは見られないかもしれない、そう思うほど、見る人を興奮させる一戦だったのだ。
 時は流れて2008年。2010年五輪を目の前に控えた今シーズン。バンクーバーでの男子シングルの戦いは、あのソルトレイクシティ以上のものになるのでは…そんな期待が高まっている。
 それもそのはず、現在男子で世界トップを競う4人、ブライアン・ジュベール(フランス)、ジョニー・ウィアー(アメリカ)、エバン・ライザチェック(アメリカ)、そして高橋大輔(日本)。この4人はいずれも4回転ジャンパーであるだけでなく、それぞれ強烈な個性を持ったパフォーマー。そして4人が4人とも世界選手権のメダルを手にしたことがあり、力の差が拮抗しているのだ。
 なかでも注目は、やはり日本のエース・高橋大輔。世界歴代最高得点(264.41)を2008年四大陸選手権で叩き出し、ISU世界ランキングも現在まで第1位。文句なく、オリンピック金メダリスト候補の一人だ。しかし昨シーズンは、グランプリファイナル銀メダル、世界選手権4位と、取れるはずの金メダルを二度も逃してしまった。今年こそはオリンピック前に世界の頂点に立っておきたい…そんな気持ちが、本人にも周囲にも強い。
今シーズン、ジャンプは4人の中でも最強のジュベールに並ぶため、ショート、フリー合わせて3本の4回転に挑むという。パフォーマンスは最大のライバル、ランビエールに対抗するため、新しい振付師のもとで意欲的なフリープログラムをふたつも制作したという。トップ4のひとり、その位置をキープするのではなく、頭一つ飛び抜けたチャンピオン候補になるために――高橋大輔の新たな挑戦は始まる。
 しかし今年のグランプリファイナル、来年の世界選手権、そして再来年にむかえるオリンピック…。いったい誰が金メダルを取るのか、皆目見当がつかない。これは勝負という点では、優勝候補がふたりだったソルトレイクシティ以上の面白さ。そして誰が勝っても、史上最強の氷上決戦、その頂点に立つにふさわしい、決戦を彩るにふさわしい、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるはずの4人だ。誰がどんな作戦で来るのか、このなかで誰を応援しようか、4人分の楽しみがある。
 これはもう、オリンピックシーズンから目を向けるのでは遅すぎる。プレ五輪の今シーズン、グランプリシリーズから、誰がどんな得意技を持ち、どんな演技を見せるのか…しっかりチェックしておきたい。

(2)大激戦!女子シングル女王争い
 もちろん今年も変わらず注目したいのは、氷上の華、女子シングルの戦いだ。
 トップをひた走るのは、ご存じ日本の浅田真央と韓国のキム・ヨナ。ふたりを追いかけるのは安藤美姫カロリーナ・コストナー(イタリア)。ここ2年で世界選手権のメダルを手にした4人が、今年のグランプリシリーズでも4強といっていいだろう。
 彼女たちの争いを左右しそうなのが、今シーズンのルール改正。細かな改正はいくつもあったが、特に注目したいのはトリプルアクセル以上のジャンプの基礎点見直しだ。
 これまで、4回転ジャンプなどはその難しさに比して、得られる点数が少ないことが指摘されてきた。そこで今シーズン、トリプルアクセルの基礎点が7.5から8.2へと、0.7点アップ。4回転はトウループならば9.0から9.8へ上がり、0.8点アップ、サルコウならば9.5から10.3となり、同じく0.8 点アップ。女子男子問わず、ジャンパーたちには朗報だ。
 女子の場合は、トップ4のなかでトリプルアクセルを跳ぶ浅田真央、また今シリーズで4回転サルコウに挑戦するという安藤美姫。このふたりが、果敢にチャレンジをして高難度ジャンプを決めれば、持てるジャンプはトリプルルッツまでのキム、コストナーを大きく引き離すことも可能になる。
 しかし一概にジャンパーに有利になった、とばかりは言えない。実は基礎点だけでなく、ジャンプを失敗してしまった際のマイナス点も、昨シーズンより大きくなってしまったのだ。これは一か八かのジャンプではなく、常に難しいジャンプを跳べているジャンプに自信のある選手が、きっちり試合で成功することを評価する、ということ。手ごわいルールだが、日本の浅田真央安藤美姫、両選手がルールを味方につけるかどうか――勝負の大きなポイントとなりそうだ。


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