お役立ちコラム

「タイムCM」ってなに?「スポットCM」との違いは? その料金&メリットとは?

テレビCMにはタイムCMとスポットCMの2種類があることをご存知ですか? テレビで放送されているCMにどんな違いがあるのかわからない…という方も多いかと思います。しかし、タイムCMとスポットCMではその特徴や効果がまったく異なります。 そこで今回は「この番組は○○の提供でお送りします」でお馴染みのタイムCMについて、その効果や料金など詳しく解説していきましょう!

◆そもそも「タイムCM」ってなに?

テレビCMを放送したいときは、その時間の放送枠を購入する必要があります。これをバイイングといいます。
バイイングの方法は、大きくわけて、タイムCMとスポットCMの2種類です。
そのうちの1つであるタイムCMは、企業が個別の番組のスポンサーとして放送するCMのことを指します。つまり、CMを放送したい番組と秒数を決めて、その枠を買う方法です。
じつはタイムCMの中にも、提供表示とPT(Participating commercial)の2種類があります。
スポンサーとして番組の前後に社名が表示される番組提供といわれるものと、提供表示を行わないPT(Participating commercial)です。
テレビ番組を見ていると、「この番組は○○の提供でお送りします」という提供アナウンスが流れることもありますよね。これを番組提供といいます。
タイムCMを実施した場合は、原則としてスポンサー名が番組内で表示もしくはアナウンスされ、その放送枠内でCMが放送されます。
放送秒数は30秒、60秒、90秒以上です。それぞれの提供表示とアナウンス内容については以下の表をご覧ください。
提供秒数 画面 音声
30秒 社名(または商品名) 「ご覧のスポンサーの提供」とアナウンスするだけで、社名(商品名)の告知はなし
60秒 マーク+社名(または商品名)
カラーテロップ
社名(または商品名)をアナウンス告知する
90秒
以上
マーク+社名(または商品名)のほかにキャッチフレーズも可能
カラーテロップ
簡単なキャッチフレーズを含む社名(または商品名)のアナウンス告知がある
また、契約期間は基本的に2クール(6か月)です。そのため、短期間で集中的にCMを放送することはできません。

◆「ネットタイム」と「ローカルタイム」について

タイムCMには、放送エリアによる分類があります。それが、ネットタイムとローカルタイムです。
1つ目は、ネットタイム。これはキー局によって系列局すべて、つまり全国に放送することが可能です。
仮に、テレビ朝日のネットタイムを購入したとします。この場合、全国のテレビ朝日系列24局のすべてにCMが放送されます。
また、ネットタイムの対象は、レギュラー番組と呼ばれる通常構成時の番組と特別番組です。ゴールデンタイムの番組など、全国で同じ時間に構成される番組のCM放送枠は、ほとんどがネットタイムの提供枠としてセールスされています。
特別番組とは、日本シリーズ、ゴルフトーナメントや駅伝といったスポーツの単発番組や年末年始のスペシャル番組などを指します。
レギュラー番組は2クール(6か月)での提供が原則です。一方、特別番組はさまざまなジャンルがあり、内容や規模感、時期などは各局によって異なります。
ネットタイムは放送エリアが広く、より多くの視聴者に訴求できますが、その分値段は高額です。
2つ目は、ローカルタイムです。この場合、CMの放送は各放送局の放送エリアに限られます。
たとえば、ABCテレビ(朝日放送)のローカルタイムを購入した場合、ABCテレビ(朝日放送)の放送エリアのみ放送されます。
ローカルタイムの特徴は、地域密着型のスポンサーが多いこと、さらに時間帯や視聴者の年齢層などを考慮してCMを放送できるという点です。
また、ニュース番組や情報番組のなかには、1つの番組にネットタイム、ローカルタイムそれぞれのCM放送枠があり、時間帯などで分けて設定しているというものもあります。

◆タイムCMのメリットとデメリット

タイムCMはメリットが大きい反面、デメリットも存在します。その特性を確認してみましょう!

【タイムCMのメリット】

・番組の人気により、目的と訴求する対象を効率よくとらえることで、購買者層の拡大が狙える。
・番組そのものや番組内のキャラクターなどの多角的利用が可能。たとえば、アニメキャラクターの商品化など。(ただし、権利関係や著作権関係の調整が必要)
・同一番組のスポンサーに競合他社がいるかどうか考慮できる。
・ネットタイムでは、CMを全国一律に同時配信できる。
・レギュラー番組の場合、安定した視聴率が見込める。
・30秒以上のCMスペースの利用ができる。

【タイムCMのデメリット】

・競合などの問題で、希望してもあき枠がない場合がある。
・原則6か月契約のため、短期の出稿ができない。
・固定費となるので、流動性をもった予算組みをするのが難しい。

さらにタイムCMは、番組がもっているイメージが企業や商品のイメージに反映されるという効果も期待できます。ただしこれはイメージアップになることもあれば、商品の特徴によってはデメリットになってしまうこともあるので注意が必要です。

◆スポットCMとの違いは?

対してスポットCMは、番組を指定せずにさまざまな人に見てもらえるというメリットがあります。短期間でもCMを流せるので、新商品やキャンペーンの訴求におすすめです。
一方、タイムCMは長期間にわたって企業や商品の認知を高めていきたいというブランディングに向いています。
先述したように、タイムCMにはメリットとデメリットの両方が存在しますが、タイムCMとスポットCMはお互いに補完関係にあります。タイムCMのデメリットはスポットCMのメリットでもあるため、目的に応じて使い分けできるのがテレビCMの大きな利点です。

◆タイムCMの効果とは?

では、タイムCMを放送することで、どのような効果が得られるのでしょうか?
1つ目は、ブランディングです。これはタイムCMがもつ最大のメリットともいえます。
タイムCMでは提供する番組を企業側が選定できるため、特定の視聴者に同じCMを視聴してもらうことが可能になり、それにより商品のイメージを訴求しやすくなります。
続いて、ターゲットとマッチしやすいといった効果も。
たとえば新作のイヤホンを宣伝したいと考えた際に、昼の情報番組よりも音楽番組で放送するほうがより効果的ですよね。
このようにターゲットが明確な商品であれば、放送する番組を指定できるタイムCMの方が有効と言えます。

◆タイムCMの料金は?

タイムCMの料金は、基本的に電波料と制作費によって構成されています。
電波料はCMを放送するためにかかる費用です。提供する番組の視聴率、放送エリア(全国もしくはローカル)、提供表示、放送する時期といった要素によって決定します。
提供する番組の視聴率が高ければ高いほど料金も跳ね上がります。また放送エリアもネットタイムの方がローカルタイムよりも値段が高いです。
このように値段は一律ではなく、それぞれの条件や内容によって異なってきます。
制作費は、番組を制作するためにかかる費用です。ただし、著作権は著作権法により、原則としてテレビ局に帰属します。
また、タイムCMは原則として2クール(6か月)での契約です。そのため、4月と10月の改編時期に間に合うようセールスが行われます。

◆第三のテレビCM「SAS」

さらに、タイムCM、スポットCMに次ぐ第三のテレビCMも登場しています。それが、SAS(Smart Ad Sales)です。
SASの特徴は、放送枠を指定して15秒CMを1本単位で購入できること。放送枠や日によって価格や本数が設定されています。
SASはオープン価格になっており、WEB上でセールス状況を確認できます。そのため、過去の実績などに関わらず放送枠を購入することが可能なので、初心者でも購入しやすいという点がSASのメリットです。
また、新商品の発売日やイベントの告知など、CMを流したいタイミングにあわせて放送することが可能です。

◆まとめ

今回は、タイムCMについて解説してきました。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう!
セールスの単位 30秒・60秒・90秒以上
提供表示 あり
契約期間 原則2クール(6か月)
放送エリア ネットタイム(全国)orローカルタイム(各局エリア)
予算 2クール分固定予算
効果 安定性・丁寧なメッセージ
  1. タイムCMとは、企業が個別の番組のスポンサーとして放送するCMのこと。
  2. 原則としてスポンサー名が番組内で表示もしくはアナウンスされる。放送秒数は30秒、60秒、90秒で、契約期間は基本的に2クール(6か月)。
  3. ネットタイムとローカルタイムとよばれる放送エリアによる分類がある。
  4. 「番組人気との相乗効果で購買者層の拡大が狙える」「CMを全国一律に同時配信できる」などのメリットがある一方、「短期の出稿ができない」「固定費のため、流動性をもった予算組みが難しい」などのデメリットも。また、「ブランディング」や「ターゲットとマッチしやすい」などの効果が得られる。
  5. タイムCMの料金は、電波料+制作費。
  6. 第三のテレビCM「SAS」では、15秒CMを1本単位で購入可能。