お役立ちコラム

「世帯視聴率」と「個人視聴率」ってなに?「コア視聴率」についても説明!

わたしたちがよく耳にする視聴率。テレビ番組やCMが「どのくらいの世帯・人々に見られたか」という視聴量の大きさを表す指標です。
そんな視聴率には、世帯視聴率と個人視聴率の2種類があることをご存知でしょうか?
一口に視聴率と言っても、じつはさまざまな種類があり、そこから得られるデータも異なります。それぞれの違いを知ることで、視聴率についてさらに理解が深まるはずです!
そこで今回は、世帯視聴率と個人視聴率の違いやそれぞれの計算方法について詳しく解説していきます。

◆世帯視聴率・個人視聴率ってなに?

まず世帯視聴率とは、調査エリア内のテレビ所有世帯のうち何世帯でテレビを付けていたかを表す割合です。
対して個人視聴率は、だれがどのくらいテレビを視聴していたかの割合を表します。
また、個人視聴率の1種に個人全体視聴率というものがあります。これは対象世帯に住む人のうち、だれがどのくらい視聴していたのかを表す割合です。
さらに視聴者を性別、年齢や職業などの特性で区分けし、区分ごとに視聴率を計算する方法もあります。
以下は、その区分をリスト化したものです。
C 男女4〜12歳 ※CはChildの意
T 男女13〜19歳 ※TはTeenの意
M1 男性20〜34歳 ※MはMale(男性)の意
M2 男性35〜49歳
M3 男性50歳以上
F1 女性20〜34歳 ※FはFemale(女性)の意
F2 女性35〜49歳
F3 女性50歳以上
FはFemale(女性)、MはMale(男性)です。1は20~34歳、2は35~49歳、3は50歳以上を意味しています。
つまり20~34歳までの女性は「F1層」、35~49歳までの男性は「M2層」です。
さらにF1層の人口を母数にした視聴率をF1視聴率と呼びます。これは対象世帯の20~34歳の女性を母数にし、そのうちの何人が番組を見ているかを表したものです。

◆世帯視聴率・個人視聴率の算出方法は?

次に世帯視聴率・個人視聴率・個人全体視聴率、それぞれの算出方法についてご説明しましょう。
たとえば、あるテレビ番組を10世帯40人のうち、2世帯4人が視聴していたとします。
この場合、世帯視聴率は【2世帯÷10世帯=20%】、個人全体視聴率は【4人÷40人=10%】です。
次に、10世帯40人のうち、2世帯6人が視聴していたとします。
この場合、世帯視聴率は20%と変わりませんが、個人全体視聴率は【6人÷40人=15%】です。
世帯視聴率は調査エリア内の“世帯数”を母数にしている一方で、個人全体視聴率では“人口”を母数にしています。
したがってこのように、個人全体視聴率は世帯視聴率よりも高くなったり、逆に低くなったりする場合があります。
また、個人視聴率を算出する際の母数は、“特定の区分の人口”です。
対象世帯のF1層(20~34歳の女性)の人口が10人だったと仮定し、そのうち2人が番組を視聴していたとします。
その場合、F1視聴率は【2人÷10人=20%】となります。

◆商品購買意欲が高い層は?

13歳~59歳の視聴者層は行動範囲が広く、一般的に商品購買意欲が高いとされていて、広告ターゲットとして重要視されています。
“ファミリー”視聴率などとよばれ、テレビCMを出稿する際に注目しておきたい指標の1つです。

◆2020年3月から開始された「新視聴率調査」

近年では、視聴率から得られるデータも大きく変化しつつあります。
2020年3月、ビデオリサーチ社が新視聴率調査を開始。個人視聴率の取得が本格化しています。
これまで、個人視聴率はエリアの狭さや調査台数の少なさなどの理由で使用される機会はあまりありませんでした。
しかし新視聴率調査が開始したことで、自宅に複数台あるテレビごとに個人視聴率の調査が可能に。人数だけでなく、性別や年齢層まで把握できるようになりました。
また、この新視聴率調査によりタイムシフト視聴率の調査も全国規模に拡大しています。タイムシフト視聴率とは、録画でどのくらい視聴されたかを表す割合のことです。オンエアから7日間(168時間)以内に再生されたものが対象になっています。
近年では、テレビ番組をリアルタイムではなく、録画して視聴するという方も増えていますよね。ハードディスクなどの録画機が普及している今、タイムシフト視聴率も見逃せない指標の1つになっています。
タイムシフト視聴率の調査は、2016年10月より関東で開始され、この新視聴率調査の開始により全国規模に拡大しました。

◆広告出稿における個人視聴率の活用法

これまでテレビCMはターゲティングや効果検証がしづらい側面があるとされてきました。
しかし、個人視聴率では、いつ・誰が・どんな番組を見ていたかといった詳しい数値がわかります。個人視聴率を活用することで、ターゲティングや効果検証もより効率的に行えるのです。
つまり、テレビCMは広告手段として今まで以上に有効性が向上していると言えます。
さらに新視聴率調査の開始により、番組制作においても世帯視聴率だけでなく個人視聴率も重要視されるようになりました。
これにより若者世代やファミリー層など、さまざまな世代に見てもらえる番組作りが進んでいます。
最近では若者世代がよく利用しているSNSを意識するなど、若者世代が見やすいことを念頭に置いた番組制作も行われています。幅広い世代を取り込めるような番組が作られることで、より多くの人がテレビ番組の魅力を再発見するきっかけにもなっていることでしょう。

◆まとめ

今回は、世帯視聴率と個人視聴率の違いについて解説してきました。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう!

  1. 世帯視聴率は、調査エリア内のテレビ所有世帯のうち何世帯でテレビを付けていたかを表す割合。
  2. 個人視聴率は、だれがどのくらいテレビを視聴していたかを表す割合。
  3. 世帯視聴率を算出する際の母数は、調査エリア内の“世帯数”。個人全体視聴率を算出する際の母数は、“人口”。個人視聴率を算出する際の母数は、“特定の区分の人口”。
  4. コア視聴率は、いわゆる“ファミリー層”の個人視聴率。
  5. 新視聴率調査により、個人視聴率の取得が本格化。
  6. 個人視聴率を用いることで、広告出稿でのターゲティングや効果検証もより効率的になる。