2017年6月1日放送

南清水沢駅(北海道)

“自分たち”の駅前

JR北海道 石勝線

北海道の夕張市にある南清水沢駅は、JR石勝線の新夕張から夕張を結ぶ支線の駅。支線は、明治時代から日本のエネルギー源を支えた石炭を、夕張の炭鉱群から運び出すためにつくられた。しかし、活気に沸き返った炭鉱の町の駅は、もうじき消えようとしている。

今週の一句

緑さす駅長室に湯の沸いて
まどか

炭鉱の町の駅

清水沢は、炭鉱で働く人々の住宅、いわゆる「炭住」が集まった地域。最盛期には10万を超える人口を誇っていた夕張市だが、現在は1万人を割り込んでいる。

女性の委託駅長

南清水沢駅は駅舎の管理、乗車券の販売などの業務を個人に委託している。14年前から委託駅長を務める村上美知子さん(写真・左端)の人柄を慕い、狭い駅長室は地元の人たちの憩いの場に。南清水沢駅は、再来年の支線廃止とともに、駅としての役目を終える。

「駅」から、君へ

駅に置かれたノートには、地元の子どもたちが書き込んだ南清水沢駅へのメッセージが。そこに、村上さんは「駅」からの贈り言葉として返事を記し、駅とともに暮らした日々をいつまでも忘れないでほしいと願う。

地元の人たちが支えた故郷の駅

数年前、村上さんが足を患い、駅舎の掃除もままならなくなったとき、駅を利用している高校生たちが手助けしてくれた。以来、地元の高校の卒業式が近づくと、駅長の村上さんは駅舎を飾りつけ、駅を利用するのが最後になる卒業生たちを送り出すようにしている。