第44回全日本大学駅伝

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瀬古利彦が斬る!
関東大会を斬る

関東予選はスタートの17時時点で、天候晴れ、気温26度、湿度58%、南西の風1.8m。心地よい風の吹く、6月としては最高のコンディションで行われた。ただ、その割には好タイムが出ず、もったいない展開だったと言わざるを得ない。合計タイムで争うチームプレーなので仕方がないのは確かだが、個人で特筆すべき選手が現れなかったという点で、正直残念な印象だった。

1位通過した山学大は、本戦で上位に行く可能性が十分にあると思う。留学生エノック・オムワンバ(2年・最終組1位28分18秒77)がしっかり走っているし、同じく最終組の井上大仁(3年)も3位と続いた。他の選手も山学大は、全体にしっかり走っている感じが見えた。

2位通過の法大は、1月の箱根駅伝にも出場したし、そのあたりからも上り調子と思われる。中でも最終組2位の西池和人(3年)が、復活した印象。もともと力のある選手なので楽しみだ。

3位通過の青学大は、1年生の一色恭志が第2組で1位になるなど、第3組終了時でトップ。安定したチーム力で本戦出場を決めた。

以上の3校は、本戦でも前半で乗ることが出来れば、面白い存在になると思う。

市田兄弟(3年)による大東大の最終組逆転はあったものの、今回は天候が良かったせいか、大どんでん返しのような波乱は起こらず、前半組からしっかり走ったチームが本戦出場を決めた。7位と引っかかった順大などは、名門復活を期待したい。

中大、城西大などは、ここで落ちるチームではないと思っていたので、予選惨敗は残念だ。この両校は、ともに箱根の山登りで棄権した。そのトラウマが残っているのだろうか・・・? チーム状況が心配だ。城西大・村山紘太(3年)こそ、第3組1位と頑張っていたが・・・。

神大は力をつけていると思っていたのだが、我那覇和真(2年)の最終組5位が目立ったのみだった。
東海大も元気がなかった。大エース、村澤明伸が卒業したなど、戦力が落ちる時期ではあるが、だからこそ立て直しを期待したい。

6校のシード校を含めた本戦の展望としては、やはり駒大、東洋大が強いだろう。駒大は窪田忍(4年)、中村匠吾(3年)、村山謙太(3年)、東洋大は設楽兄弟(4年)など、エース級ランナーが複数存在する。そこに箱根を制し、元気な日体大が対抗していくイメージだ。
早大は大迫傑(4年)こそ突出するが、山本修平(3年)をはじめ他選手が力をつけないと厳しい。1年生に何人かいい選手は入ったが、夏を超えないと新人は計算できない。

今の時点では、駒大、東洋大、日体大が、優勝候補と考えられ、予選会出場のチームとではやや差があるだろう。
もし山学大がオムワンバをアンカーに据え、2分以内に襷をつなげれば大逆転はあり、悲願の「全日本初優勝」ということも考えられるが、はたしてどうか!