東海大は2組目まで8位と圏外だったが、3組目でルーキー元村大地(1年)がトップでゴールし、4組目でダブルエース村澤明伸(2年)・早川翼(2年)が、拓大留学生コンビを追う第2グループを引っ張った。結果、大逆転の1位通過。この1〜2年生の勢いがチーム全体に伝われば、本戦でも旋風を巻き起こす可能性は十分にある。
2位通過の城西大、4位通過の帝京大は、突出した選手のイメージはないが、全体として安定した戦いを見せた。去年、ほんのわずかの差で本戦出場を逃した両校だけに、おそらく喜びもひとしお。駅伝の戦い方、チーム力が確実についてきているということだろう。
3位通過の国士大と5位通過の日体大は、最終組(4組目)で逆転予選通過を果たした。
国士大は、藤本拓(3年)と伊藤正樹(3年)が、東海大コンビたちとともにレースを作り、拓大留学生にも挑む姿勢も見せた。全日本大学駅伝本戦へ20年ぶりとなる出場は、素直に祝福したい。日体大は、各組で一人は上位でゴールしており、結果が示す通りタレントは多い。本来、もっと楽に予選通過すべきチームだと思う。野口拓也(4年)、出口和也(4年)など最上級生に力のある選手がいるし、服部翔太(1年)のようなフレッシュな新勢力もいる。本戦こそ、一層の実力を発揮することを期待する。
1〜2組目でレースを引っ張るなど、青学大や東農大も見どころは作った。しかし、後半は失速。エース級が揃う区間で勝負出来る選手が絶対不可欠な、スピード駅伝の宿命を感じさせる結果となった。
その点、逆に、4組目でダンカン・モゼ(1年)とジョン・マイナ(1年)のルーキー留学生2人を揃える拓大は注目された。期待通り、2人は28分台の好走。しかし、大逆転は起こらず。留学生頼みという厳しい評価も出来るが、亜大を’06年箱根制覇に導いた岡田氏が現拓大監督であり、全体の底上げが出来れば強力チームに変貌する可能性がある。今後に期待したい。
花田監督が率い、初出場を目指した上武大は、期待には応えられなかった。学生ナンバーワンの10000m記録を持つ長谷川裕介(4年)の欠場は残念だったし、本戦で見たかったというのが本音だ。
シード校を含めた本戦の展望を考えると、去年こそ失速したが過去12年で8度優勝の駒大は、やはりしっかりチームを作ってくるだろう。対抗するのは、東洋大、早大あたりか。
さらに、明大、東海大、城西大、日体大あたりが絡んでくるのではないだろうか。
東洋大は柏原竜二(3年)をアンカーに使えるような、厚みを持ったチームになれば優勝のチャンスはぐっと上がる。早大は矢澤曜、八木勇樹、三田裕介といった3年生がしっかり走ることが第一条件だが、世界ジュニアにも参戦する大迫傑、志方文典の有望1年生も加わった。優勝候補の一角だろう。
去年優勝の日大は、大エース・ダニエルが卒業したので、全体の力がやや落ちるのは否めない。しかし伝統校ならではの力で、ぜひとも奮闘してほしい。
明大も戦力だった4年生が抜けたが、鎧坂哲哉(3年)が成長している。やはり、彼をアンカーに据えられるような展開になれば、強いチームになるだろう。
全日本は、最終区が20km弱と長い。ここ数年は、モグスやダニエルといった超強力な留学生に牛耳られていたが、今年は彼らほどの大砲はいない。日本選手によるアンカー勝負が予想される。そのためにもエース級を最後まで残し、そこまで優勝圏内でいられるような戦いをするのが必要だと思う。とにかく大接戦は必至だ。
また、今季は超強力留学生がいないとはいえ、日本人選手はそれでも外国人選手にあっさりと負けてしまうシーンが多くみられる。サッカーワールドカップで日本代表が見せたように、負けたとしてもよく頑張ったと思えるようなレースを見たい。東海大・村澤、早川、東洋大・柏原など、留学生すら追いこす走りをぜひとも期待したい。