2010大学夏合宿リポート(全日本大学駅伝出場校)
日本大学
 出雲、全日本を制しながらも、箱根駅伝では15位。8年ぶりの箱根予選会に出場する日大は、昨年までと練習の組み立て方を変えて夏を過ごしてきた。Aチーム18人は、菅平を中心に長野県内で山ごもり≠行った。
「今年は山にこもってしっかりと走り込んできました。距離走やクロカン走が中心で、35km走もやりました」と堀込隆コーチ。堂本尚寛、佐藤佑輔、ガンドゥ・ベンジャミンらスピードランナーも、泥臭いメニューをこなしてスタミナアップを計った。また、故障で出遅れていたルーキーの田村優宝が、夏合宿では長い距離でも抜群の強さを見せているという。もくろみ通りにスタミナがつけば、全日本の連覇≠煬サ実味を帯びてくる。
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東洋大学
 箱根駅伝王者・東洋大は10ヵ所以上の場所で細かく合宿を張り、それぞれの選手の状態、適性に応じて夏を過ごしてきた。本格的なAチーム合宿は8月20日からの群馬・東吾妻からで、そのまま新潟県の山古志(8月23日〜27日)へ移動。途中、実業団の合宿に参加した選手もいたが、柏原竜二を含む14名が汗を流した。一方、大津翔吾、宇野博之などは実業団の合宿を中心に、独自の流れでトレーニング。酒井俊幸監督はAチームだけでなく、BチームやCチームの合宿にも参加して全選手の状態をチェックした。選手層の厚いチームは長野・富士見(9月13日〜18日)で全体合宿に入り、選手選考のサバイバルレース≠本格化させる。
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明治大学
 福島、新潟、北海道と、5つの合宿地で計37日にわたった夏合宿。ロードの距離走、クロカン、トラック練習を適度に配分しつつ、徐々に強度を上げていった。「練習の開始時間は決まっていますが、終了時間は各自で決める」(小林優太主将)のが明大流だ。ノルマとして課される練習に、選手個々の判断で強弱をつける。体調に応じて、本練習でビルドアップの強さを調整したり、ジョグの量を変えたり。春にフル稼働した鎧坂哲哉は、疲労をしっかり抜いた後、長い距離への苦手意識払拭に取り組んだ。チームとしての課題は、鎧坂を生かす<`ーム作り。菊地賢人、小林、大江啓貴や、期待の1年生が、選手層の再整備へ汗を流した。
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早稲田大学
 大学三大駅伝全制覇を目指す早大は、菅平(長野)、北海道(北見→深川)と7〜8月に2度の夏合宿を実施。北海道合宿は5km×3本、40km走など例年と同じメニューだが、「今年は途中でダメになる選手がいません。みんないいんですよね」と渡辺康幸駅伝監督は好感触を口にした。なかでも3年の八木勇樹がチームをグイグイ引っ張り、昨年は絶不調だった三田裕介も復活。今季10000m28分台の平賀翔太、佐々木寛文も好調で、1年生の大迫傑と志方文典は、量を減らす代わりに質の高い走りでチームを刺激した。また、主将の中島賢士、猪俣英希、北爪貴志、前田悠貴らもレギュラー争いに加入。15年ぶりの伊勢路Vに確実に近づいている。
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山梨学院大学
 チーム発足当時から恒例となった長野・車山高原での夏合宿は、7〜10日間の合宿を3クール。霧ヶ峰クロカンコースでとことん走り込む。標高1600m超の環境が心肺機能にアプローチし、豊富な起伏と柔らかい足場が脚力アップに効く。また、練習前準備や補強、動き作り等、走練習以外への取り組みや、生活面の自己管理意識が高いことが、山梨学大の特徴だ。上昇志向の強い高瀬無量主将は、あらゆる場面で先頭に立ち、グイグイとチームを牽引する。練習で高瀬に挑む気概を見せる選手も現れ、O・コスマスも順調。2年生が順調に力をつけており、新たな主力の出現が期待される。シード獲得確率100%の山梨学大の夏は、今年も充実していた。
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中央大学
 今季は棟方雄己、佐々木健太が故障で出遅れたこともあり、苦しいトラックシーズンとなった。半数近くが故障などでチーム練習に参加できなかった時期もあったが、夏を前にチームの足並みが揃うと、選抜20名の北海道合宿(8月18日〜26日は弟子屈、26日〜9月3日は別海)を行った。
「昨年までと同じような流れですが、選手の状態を見て練習を組みました。昨年よりも少し遅れているので、今年は質を抑えて、じっくりと取り組んでいます」と浦田春生駅伝監督。北海道ではペースを抑えて着実に走り込んできた。そして、日本インカレを挟んで、Aチームは長野・菅平(9月12日〜20日)でより実践的なトレーニングに入った。
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駒澤大学
 昨年、初めてシード圏外(7位)へ陥落した駒大はこの夏、新世代の育成に重点を置いた。3、4年生は井上翔太らロードで真価を発揮する選手が中心だが、その人数が多くない。チーム力のカギは、春にトラックで飛躍した上野渉、千葉健太、久我和弥、撹上宏光ら2年生だ。彼らがさらにロードの適応力をつけようと、豊富な練習量に取り組んだ。野尻湖→志賀高原→野尻湖と、長野県内の各所で約1週間ずつ、21日連続で行う日程は例年と同じ。野尻湖では起伏の大きい湖畔コースの30km走を中心に、強靭な足腰を作り上げる。標高の高い志賀高原では、心肺機能に負荷をかけるメニューを追加した。今年も着実にベースアップを進めた駒大だ。
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東海大学
 全日本の関東予選会をトップで通過。エース村澤明伸を軸に強力なチームを作りつつある東海大は、8月5日〜14日に福島・裏磐梯で20人の選抜合宿。その後は秋田・花輪(14日〜22日)に移動し、ほぼ全員の約60人で汗を流した。
「みんな一緒の目標を持って取り組み、同じように汗をかいて苦しむことが、いいチームにつながっていくと思います」と新居利広駅伝監督。全日本選考会のメンバーから外れた河野晴友、永田慎介、田中飛鳥、栗原俊も順調にトレーニングを消化し、1年生の元村大地も長い距離への適性を見せた。金子太郎主将、刀祢健太郎ら実力派も健在となれば、戦力はさらに充実しそうだ。
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城西大学
 3年ぶりの全日本出場を決めている城西大は、8月5日〜12日に黒姫(長野)で全員合宿を実施。22日〜9月4日には2次合宿として北海道に渡り、紋別と深川で秋シーズンに向けての走り込みを継続した。紋別は起伏の多い町だが、選手たちは多い時には1日約60kmを走破したという。主将の田中佳祐らが実業団の合宿に参加して不在の中、存在感を見せたのは3年生の田村優典。好調のルーキー・平田啓介も30km走など長い距離に対応し、成長株としての勢いを感じさせた。関東インカレ3000m障害Vの山口浩勢、昨年はケガに苦しんだ三田翔平といった有望選手も着々と調子を上げており、総合力で勝負するチームが完成度を高めつつある。
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国士舘大学
 予選会を突破し、20年ぶりに伊勢路へ復活する国士大は、主に新潟・妙高高原を拠点とする夏合宿。試験等の影響で練習の進捗状況に個人差が生じたが、新任の小川博之コーチがきめ細かいスケジュール管理を行い、徐々に足並みをそろえていった。コーチの発案で、標高差700mを駆け上がるヒルトレーニングや、短距離のようなラダートレーニングを新たに導入。また、レベル差や適性を考慮したトレーニングの細分化に取り組み、選手層の整備を進めている。伊藤正樹は実業団の合宿で鍛えた後、チームに合流。7月に故障した藤本拓も、順調に回復し練習を再開した。松本良介、西尾尚貴、小野浩典、鈴木卓也らの充実で、チーム力は高まっている。
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帝京大学
 帝京大が夏の重要ポイントと位置づけるのは、8月16日〜31日の1次合宿。特に、28日までの万座合宿(群馬)は標高1800mの万座高原を拠点とし、2日連続の距離走など、環境を生かしたハードトレーニングを実施した。1年生は6人が参加して激しい起伏で洗礼≠受けたものの、この経験が秋シーズンの急成長に結びつくことは確実だ。一方のエース・中村亮太は「だいぶ絞れてきましたから、秋にはひと皮剥けるんじゃないかと思っています」と中野孝行監督が言うほどに順調。西村知修主将、杉山功ら、その他の選手も意欲的にメニューを消化しており、9月3日〜19日の北海道合宿では実戦的な練習も導入。伊勢路で旋風を起こせるか。
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日本体育大学
 日体大は山形・坊平(8月9日〜16日)の後、北海道・別海(17日〜27日)に渡り、それから斜里(27日〜9月1日)へ。今年も3週間以上に及ぶ長期合宿を敢行した。選抜17人が参加した北海道合宿では例年通り、22日の納沙布岬ハーフに出場。その前後には起伏のあるコースで30km走を行い、2度目の30km走では野口が1時間42分台、残りはビルドアップで最後の1kmを2分58秒で上がり、1時間46分台で走破した。今年のチームは4年生と1年生に目玉選手がいるため、別府健至駅伝監督が強化のポイントに掲げるのは2年生。その2年生は福士優太朗、早川智浩、谷永雄一の3人が実業団の合宿に参加し、さらなるレベルアップを目指した。
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情報提供/月刊陸上競技