関東予選会を斬る

明大のトップ通過は、予想通りというところだろう。1組目のルーキー渡辺真矢(1年)が乗りきれなかったが、他7名はすべて5位以上。3組目でトップとデッドヒートを演じた鎧坂哲哉(2年)は、ペースは落ちながらも2位と粘ったし、4組目の松本昴大(4年)と石川卓哉(4年)は28分台でワンツーフィニッシュ。シード校が加わる本戦でも、優勝争いが期待できる力がついてきた。
2位の東海大は、ニューフェイスが引っ張った。3組目の村澤明伸(1年)が鎧坂を完全に振り切って、28分台トップでゴール。4組目でも早川翼(1年)が4位と健闘した。卒業した大エース・佐藤悠基の穴をこの二人で、十分に埋めることができるだろう。
3位の東農大は、1組目・木下潤哉(2年)がトップでゴールしたあとは、2組目以降各ペア2人がタイム差12秒以内で確実にゴール。堅実に予選を戦った印象だ。

比較的順当だった今回の予選会では、4組目で大逆転が起こった。3組目までの総合6位は城西大、7位は帝京大。しかしこの2校を飛び越えて予選通過を果たしたのが、この時点で9位だった青学大だった。荒井輔(4年)と米澤類(4年)の最上級生が、それぞれ5位、7位と奮闘。帝京大をトータルでわずか1秒03上回り初の全日本大学駅伝出場権を獲得した。城西大、帝京大には酷ではあるが、これが予選会を勝ち抜く厳しさとしか言いようがない。

シード校も含めた本戦考えてみると、竹澤健介が抜けたとはいえ早大は2年生カルテットら層が厚い。今年箱根駅伝では失速した駒大も、宇賀地強(4年)・深津卓也(4年)の2大エースを擁し、基本的に安定感は抜群だ。東洋大は箱根優勝の原動力、山登りで驚愕の走りを見せた柏原竜二(2年)を中心に勢いは衰えていない。ダニエル(4年)に加え、留学生ベンジャミン(1年)を加えた日大も、未知数だが高い潜在能力がありそうだ。そして、今回トップ通過の明大。混戦になるだろうことは、間違いないないだろう。

瀬古利彦プロフィール

1956年三重県出身

言わずと知れた「伝説のマラソンランナー」瀬古利彦氏。
1980年代、日本、そして、世界のマラソン界をリード。マラソン全戦績15戦10勝、福岡、東京はもちろん、ボストン、ロンドン、シカゴ…世界のビッグレースを総ナメにした。その勝率と共に切れ味鋭いスパートで一時代を築いた「マラソン界のカリスマ」。
早稲田大学時代は、エースとして箱根駅伝で大活躍、まさに大学駅伝から世界へと羽ばたいていったパイオニアである。低迷する男子長距離・マラソンを憂う瀬古氏が、今、「復活」のカギとして最も期待しているのが学生長距離界だ。そんな期待も込めつつ、瀬古氏ならではの厳しくも優しい視点と切り口で、レースを解説。