2009大学夏合宿リポート(全日本大学駅伝出場校)
駒澤大学
 全日本大学駅伝3連覇中の王者・駒大は、7月18日〜24日に野尻湖(長野)で夏合宿をスタート。8月17日〜9月3日は、野尻湖と志賀高原(長野)を拠点に、25kmや30kmなどの距離走で走り込んだ。星創太(4年)は股関節の疲労骨折で1次合宿への参加を見合わせたものの、看板選手の宇賀地強(4年)、高林祐介(4年)、深津卓也(4年)が健在。さらに、今年は上野渉(1年)、千葉健太(1年)といった力のあるルーキーが加わり、大八木弘明監督は「同じような感覚で練習ができているのでみんないいライバルです。この中からエースと呼べるような選手が2〜3人出てくれると育てがいがありますね」と好感触を口にした。2、3年生も順調にきており、大会史上初の4連覇に向けて視界は良好だ。
Highslide JS Highslide JS Highslide JS Highslide JS
早稲田大学
 前回の伊勢路は準優勝。14年ぶりの全日本Vを目指す早大は、選抜18名が8月12日〜26日まで北海道(北見と深川)で夏合宿を行った。練習メニューは例年とほとんど変わらないが、前半の山場ともいえる5000m×3本では、ラスト1本を12〜13人の選手が14分台でフィニッシュするなど、例年以上にレベルの高い練習を積んできた。「全体的に距離も踏めましたし、内容もすごくいいです。チームがようやくかみ合ってきましたね」と渡辺康幸駅伝監督も手ごたえをつかんでいる。毎年恒例にもなっている最後のポイント練習の25km走では、高野寛基(3年)と萩原涼(1年)がトップ争いを演じるなど、全日本ではニューフェイスも登場しそうだ。
Highslide JS Highslide JS Highslide JS Highslide JS
山梨学院大学
 全日本大学駅伝は23年連続23回目の出場で、これまでに2位が10回。そろそろ初優勝を遂げたい山梨学大は、今年も長野・車山高原での夏合宿。8月から9月にかけて3回、1回あたり1週間から10日の日程で行うもので、夏の間は大学のある甲府市と車山を行ったり来たり。標高1600mの白樺湖で距離走を、1800mの霧ヶ峰でクロカン練習を取り入れ、高地トレーニングとしての効果も狙った。練習のメインとなるクロカンは、1周約3.8kmのコースを7〜8周、4〜5人のグループに分かれて取り組む。「高地ですし、きつく、インターバル的な練習にもなります」と上田誠仁監督。主将の岩田真澄(4年)、主軸の中川剛(4年)のほか、オンディバ・コスマス(2年)も精力的に走り込んだ。
Highslide JS Highslide JS Highslide JS Highslide JS
東洋大学
 昨年大会4位、1月の箱根駅伝優勝校の東洋大は、この夏の間に主力のAチームが7回の合宿を実施。また、これまで4つに分けていた選手たちをA、Bの2チーム制とし、底上げを図った。「柏原(竜二)だけは頭一つ抜けていますが、それ以外は選手間で昨年ほど大きな差はありません」と酒井俊幸監督。8月16日〜20日の山古志(新潟)と25日〜9月1日の山形・坊平合宿には、渡邊公志(1年)と斉藤貴志(1年)も同行して起伏の激しいコースで走り込んだ。この夏で数多く合宿をこなした4年生は安定感が増し、主軸である千葉優(3年)や高見諒(3年)など7人は、さらに高いレベルを目指して実業団の合宿にも参加したという。今年もチームの充実度は高そうだ。
Highslide JS Highslide JS
中央学院大学
 昨年大会で過去最高の5位に入った中央学大は、夏合宿も例年の流れを踏襲。8月1日〜3日の長野・八ヶ岳合宿を経て、6日〜14日の長野・黒姫合宿では恒例の47km走を消化した。そして、24日には北海道に渡り、9月1日まで士別で3次合宿に。副キャプテンで関東インカレ2部3000m障害の覇者・大野紘崇(3年)がチームを引っ張り、三浦隆稔(4年)、小林光二(3年)も主力として積極的な走りを見せた。1年生も3人が士別合宿に参加している。士別では起伏を利用した30km走や、クロカンコースを使った1km×10本のインターバルなど、ハードな走り込みで持ち前の粘り強さを強化。今年は総合力で勝負する中央学大だが、底上げは着実に進行しているようだ。
Highslide JS Highslide JS Highslide JS
日本大学
 日大は8月15日〜31日まで北海道・深川で合宿を行った。選抜21名が参加したが、日本インカレに出場したギタウ・ダニエル(4年)、ガンドゥ・ベンジャミン(1年)、佐藤佑輔(1年)は同時期(13日〜25日)に長野・菅平で汗を流した。それでも、深川には谷口恭悠(4年)、丸林祐樹(4年)、井上陽介(4年)、中原知大(4年)らチームの主軸が集結。クロカン、距離走、トラックと、3つのポイント練習を柱にじっくりと走り込んだ。就職活動のために前期は練習に集中できなかった4年生の足並みもそろい、堀込隆ヘッドコーチは「前期はダニエル頼みにならざるを得ない状況でしたが、チームとしてタイトルを取りたいという雰囲気になってきました」と夏合宿の成果を感じている。
Highslide JS Highslide JS Highslide JS Highslide JS
明治大学
 2年連続で全日本大学駅伝関東予選会をトップで通過した明大。Aチームは8月20日〜25日は深川、25日〜9月1日までは紋別と、北海道で13日間の合宿を行った。「各学年に主軸のいるチームが理想」という西弘美駅伝監督の構想に近く、北海道合宿は各学年5人の合計20名が参加。深川ではクロカン走25kmを2回と30km走1本をこなし、紋別でも順調に練習を消化した。「昨年までは箱根の予選会(10月)を想定していましたが、今年は予選会がないのでスピードを上げずに、全員が一緒でゴールできるような感じでやっています」と西監督。昨年の伊勢路は故障者が続出して11位に沈んだだけに、今年はじっくりと練習を積んで全日本大学駅伝に照準を合わせている。
Highslide JS Highslide JS
東海大学
 村澤明伸(1年)、早川翼(1年)という強力ルーキーを擁する東海大は、7月31日〜8月7日に福島・裏磐梯で夏合宿をスタートさせた。起伏のある桧原湖畔で25kmや30kmの距離走を組み込むと、2人の1年生が駅伝主将の金子太郎(3年)など上級生を刺激。チームには非常にいい雰囲気が浸透したという。そして、解散期間を挟んだ21日〜31日には、紋別(北海道)で2次合宿を実施した。日本インカレに出場する選手は別メニューでの調整となったが、インカレ組はトラック、それ以外は走り込みと、それぞれの目標に向けたトレーニングを消化。村澤はこの夏に自身としては過去最高となる「1日平均40km」の練習量を目安にしたといい、じっくり時間をかけて自らを鍛え上げた。
Highslide JS Highslide JS
中央大学
 昨年は5年ぶりに全日本大学駅伝のシード権を失い、6月の関東予選会を5位で通過。上位校への復帰を目指す中大の夏合宿は、8月17日〜9月1日に北海道の弟子屈と紋別で行われた。7月から長い距離をこなすための準備をしていたこともあって、北海道での練習は順調に進行。早朝25km、本練習16kmという1日2回の距離走や、土のトラックを使った2000m×7本など、密度の濃いメニューが展開された。さらに、ポイント練習以外でも選手たちが自主的にジョッグの距離を延ばすなど、例年以上にチームはいい状態だという。参加した19人のうち、野脇勇士(1年)、佐々木健太(1年)、新庄浩太(1年)ら1年生は6人。この中から何人が伊勢路デビューを果たすのか。
Highslide JS Highslide JS Highslide JS
青山学院大学
 6月の全日本大学駅伝関東予選会を突破。伊勢路初出場の切符をつかみ勢いに乗る青学大は8月18日〜31日の日程で北海道合宿(深川と紋別)を行った。「今年は『チーム』をキーワードにして、全員が一体感を持って戦うことを目標にやっています」と原晋監督。過去2年間は20名ほどの選抜制で行っていた北海道合宿も、今年は故障者を除く全員が参加した。昨年の夏合宿は主力選手の多くが故障しただけに、今年は故障者を出さないように気を配ってきたと原監督は言う。また、「1年生が強いので、上級生には刺激になっています」とさらなるプラス要素も。横山拓也(1年)、相原征帆(1年)、小嶺篤志(1年)、出岐雄大(1年)ら1年生の存在がチームの雰囲気をさらに明るくした。
Highslide JS Highslide JS Highslide JS
情報提供/月刊陸上競技