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毎週土曜 夜

放送内容

2015.10.24 #81

茶圓勝彦(ちゃえんかつひこ)
[ 砂像彫刻家 ]

ドイツの城をかたどった高さ10m、横22mの巨大な彫刻。その正体は、砂と水だけで作られた砂像。手掛けたのは、世界トップクラスの砂像彫刻家・茶圓勝彦。

「砂像彫刻は、小さい頃に海岸で砂山を作って遊んでいたその延長線上にあると思っています。大人の砂遊び、楽しいですね。」

茶圓の手掛けた作品が並ぶ「鳥取砂丘 砂の美術館」は年間50万人が訪れる人気のスポット。茶圓が手掛ける砂像の特徴は、作るのが極めて難しい緻密な人間描写。作品『ベルリンの壁 崩壊』ではつるはしを持って壁を壊す人々を表現。生き生きとした砂像を生み出すのは、並はずれた集中力。

「“やっぱりもうひとかき…”みたいなところでバサッと崩れる。そこのせめぎ合いっていうのが非常に面白いのかなと思いますが、彫っている作品が崩落する夢は頻繁に見ます。」

崩落のリスクを背負いながら、およそ2週間かけて作り上げる茶圓の砂像。
そこに込められたデザイン・コードとは…

【一期一会】

「鳥取砂丘 砂の美術館」では毎年テーマを変えて展示を行うため、茶圓は、1年ごとに全ての作品を壊し、新たな作品に作り変えている。人と作品との一期一会の出会いを大切にしたいのだという。

「“作品づくりって残すためにやっているんだ”という価値観も崩している。壊してしまうものに時間と労力を注ぎ込むという新しい価値観をお客さんも感じ始めていると思うんですね。」

はかなさに美学を感じ、砂像を作り続ける茶圓だが、その本音は…

「壊すとわかっていながらも、自分の子どもを育てる気持ち、そういう勢いで制作しているので、壊される瞬間はあまり見たくないですね。」