Design code

毎週土曜 夜

放送内容

2015.04.11 #53

堀口徹(ほりぐち とおる)
[ 江戸切子職人 ]

虹色に煌めく大きなうねりを持った器、実は江戸時代から続く伝統工芸の江戸切子。生み出したのは、江戸切子職人・堀口徹。江戸時代に生まれ、ガラスを削って作り出す繊細な模様が愛された江戸切子。堀口が得意とするのは、個性溢れるデザイン。

「江戸切子は、“このデザインこそが江戸切子”という決まりがない分、表現として自由度が高い伝統工芸だと自分は考えています。だから“こんな江戸切子があってもいいんじゃないかな”と思って作っています。作品『Switch』は代表的な柄である“籠目文(かごめもん)”を用いた作品ですが、丸い花卉を斜めに真っ二つに切り落とし、その断面を少しずらして接着し直したものです。作品が個性的なため、伝統を打ち破るとか打ち捨てるというイメージをもたれがちですが、自分は伝統的部分を非常に大切にしています。だからこの作品では真っ二つに切ることで、“伝統を受け継ぎつつも、新しいもの作っていく”という気持ちを表現しました。」

伝統を重んじながらも、新たな道を切り開く堀口の江戸切子。そこに込められたデザインコードとは…。

【サプライズ】

「使った方が驚いてもらって幸せになれるような…何かそういうサプライズが器にあると楽しいだろうなと思います。作品『黒被万華様切立盃』は、外から見ると黒い模様をあしらった透明なグラスですが、飲む際に真上から見ると、それまで見えなかったグラスの底に違う柄が現れるようになっています。一つのグラスを長く使っていこうと思った時に、シチュエーションによってガラッと見え方が違うとか、そういう驚きがあった方が楽しいと思います。作品『kizami』は大きな器ですが、向きの違う斜めの刻みを交互に入れることで、角度によって白い模様が灰色に変化する器です。」

堀口が作品に織り交ぜる、使う人だけにわかるちょっとした遊び心は、まさに江戸の粋。

「自分が作ったものが、100年後200年後に江戸切子の歴史の一部として残ってくれていたら嬉しいなと思います。」