放送内容
2018.01.06 #191
金巻芳俊(かねまき よしとし)
[ 彫刻家 ]
デニムのワンピースを着た少女の像。その少女の頭部にはなんと、16もの顔がついている。
作ったのは、彫刻家 金巻芳俊。複数の顔を持つ女性像を得意とする。
「複数の顔で女性の感情を表現しています。怒っていながらも実は心で泣いていたり、笑っていながらも悔しい思いをしていたりする女性の揺れる気持ちを形にしたいなと思って作っています。」
一本の木から削り出し、完成までにはおよそ1カ月。木を使う理由がある。
「木は人間に近いなと思って使っています。力を加えすぎたら折れてしまうし、いきなり亀裂が入ることもある。そのデリケートさが欠点でもあり、魅力でもあるなと思いますね。」
繊細な木を使い、人間の感情を描く金巻。その作品に込められた、デザイン・コードとは…
【女性って難しい】
「親しくしていた女性が、昨日まで仲良かったのに、今日は急に怒っていたことが過去にあって、
女性って難しいなって思っていますね。」
女性が理解できないからこそ、女性像と向かい合う金巻。
作品では、女性の目まぐるしく変わる表情や言葉にできない微妙な感情を表現しているという。
例えば、花嫁姿の像には16面の顔を作った。正面では幸せそうな表情しているが、その裏では…
「唇かみしめて、後悔しているような表情にしています。不安だとか“これで本当によかったのか”っていう迷いの表情を表現しました。」
いつ割れるかわからない繊細な木を扱うのと同様、女性も丁重に扱うという金巻。だが時には女性を怒らせてしまうこともあるようで…
「触れちゃいけないところっていうのが誰しもあって、そこにズバッ!と、ノミを入れちゃったのかもしれないですね。」