放送内容
2017.11.04 #183
塚本智也(つかもと ともや)
[ 画家 ]
鮮やかな色で埋め尽くされた絵。よく見ると…一頭の鹿が見えてくる。
描いたのは、塚本智也。エアブラシだけで作品を作る画家。
「一見、抽象画のようで何が描かれているかわかりにくいんですけど、じっと見ているとモチーフが浮かび上がってくるところが、単純に面白いなと思っています。」
色鮮やかな波紋の絵には…
「水中を泳ぐ2匹の鯉(こい)とその影を描いています。はじめは見えなかったものが、いったん見えてくると、それにしか見えないという感覚になるので、それも面白いなと思いますね。」
下書きなしで緻密な作品を描ききる塚本。
その作品に込められた、デザイン・コードとは…
【輪郭は描かない】
輪郭線を描かずにモチーフを表現するため、様々な技法を生み出したという。
水玉模様が特徴のダルメシアンを描いた作品では…
「犬のダルメシアンに描いたドットと、背景に描いたドットの描き方を変えています。
ダルメシアンには、はっきりとしたきれいなドットを描き、背景に描いたドットは、少しぼやかして描く。そうするとモチーフのダルメシアンが立体的に見えてくるんです。」
無数のカラフルな円で描いたコーヒーカップでは…
「コーヒーカップのふちにある円を、半円にすることで、カップのふちに見えてくるようにしました。
他にも、コーヒーカップと受け皿の境界を表現するために円の形を歪ませています。」
しかし、輪郭を描かずに表現するのは、かなり手間がかかるようで…
「一枚描くのに、一か月くらいかかります。一人で黙々と作業するので大変です。」