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一ツ山 チエ
[ 造形作家 ]

2016.03.12

 

一ツ山 チエ(ひとつやま ちえ)
[ 造形作家 ]

全長1mほどのウミガメのオブジェ。表面は古新聞で作った“こより”で覆われている。生み出したのは、一ツ山チエ。スイスやメキシコなど海外からも展示のオファーがある造形作家。

「父が紙紐工場を営んでいて、小さい時から紙をこよりにすることを目にして来たので、こよりで何かできないかなとずっと模索していました。」

古新聞で動物の形を作り、接着剤で表面にこよりを貼りつけていく。こよりは動物を表現するのに適した材料だという。

「こよりは一本一本手作りしているので、こよりの太さを調節することで動物の毛並みとか皮膚のしわを本物そっくりに再現しています。」

こよりで動物のリアルな質感を追求する一ツ山の作品。そこに込められたデザイン・コードとは…

【人をひきつける綱】

「例えばこよりでニホンザルをリアルに作ると、作品を見た方は驚いて近くで見てくれるんです。近くで見てもらうことによって “ニホンザルってこんな顔しているんだ”とか“こんな毛並みなんだ”と動物に興味を持ってほしいと思っています。」

一ツ山が動物を作るのはアフリカで見たサイがきっかけだという。

「アフリカを訪れた時に、角を狙った密猟者によって傷ついたサイを見たんです。密猟者が角をとると、サイはその部分が壊死してしまいどんどん弱って死んでいくと知り、この現状を多くの人に知ってほしいと思いサイの作品を作ったのがきっかけですね。」

野生動物の現状を一人でも多くの人に知ってほしいと願う一ツ山。
こよりを作る作業に没頭するあまり、変なクセがついたという…

「レストランに行った時に、紙ナプキンとか割りばしの袋とかあると無意識にねじってしまいますね。」