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美湖
[ 現代美術家 ]

2015.12.26

 

原 美湖(はら みこ)
[ 現代美術家 ]

壁に飾られた男性の肖像画。近づいてみると水滴のような粒で描かれている。
粒の正体は…接着剤。生み出したのは現代美術家・原 美湖。

作り方は写真の上に接着剤を垂らし乾燥させ、それを剥がしとるという手法。すると下の写真も一緒に剥がれ、まるで水滴で描いたような不思議な肖像画が出来上がる。これを思いついたきっかけは幼少時代の遊びだという。

「子どもの頃、手に接着剤を塗って遊んでいて、乾いたものを剥がすと手の皮みたいなものが取れたんです。それが作品づくりのヒントになりました。また窓ガラスに出た結露が垂れて、形がどんどん変わっていく様子を見て、“これだ!”ってひらめきました。思いついた時は“コロンブスの卵”状態でしたね。」

他に類を見ない、独創的な作品。そこに込められたデザイン・コードとは…

【人間のはかなさ】

「人間が生きているということは、すごくはかないなと思っています。人間の感情や過ごす時間というものは刻一刻と変化していて、まるで窓についた水滴の形のように思えたんです。人っていろいろな出来事に一喜一憂して生きていて、形をどんどんと変えていく。だから、そんなに強い生き物ではないなとは思いますね。」

自らの作品は、花火の美しさに近いという原。

「花火は打ち上がって散っていくまでがすごくきれいですよね。人も一瞬一瞬で移ろいゆくはかなさはあるけれど、そうして生きていく過程は美しいなと思いますね。」