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石花 ちとく
[ アーティスト ]

2015.07.04

 

石花ちとく(いしはなちとく)
[ アーティスト ]

河原に転がる石が、まるで重力を無視したかのようなありえない状態に積み上げられている。生み出したのは、アーティスト・石花ちとく。実は、“ロックバランシング”と呼ばれ、世界中に愛好家をもつ、れっきとしたアート。接着剤を使わずに石だけを積み上げて美を表現する。

「落ちている石をわざわざ“立てる”というのは不自然ですよね。でも“不自然”って極まると美しいんだなと思います。」

きわどいバランスで積み上げるコツは、目で見るのではなく、石の感触を手のひらで感じること。

「石同士が接する細かな部分は目には見えないので、ギシギシガシガシ指に伝わる石のこすれ具合でどうなっているかを想像しながらやっています。ピタッと静止して、はっ!と指を離した瞬間がゾクゾクして面白いんですよ。」

数時間、ただ石と向き合い作り上げる石花の作品。そこに込められたデザイン・コードとは…。

【答えは石だけが知る】

「完成形を知っているのは石だけなんだということ。何ができるかもどんな形になるかもわからないので、石に従うしかないですね。」

石花は、テーマを持たずに制作にのぞむ。

「浅はかな俺の意図を、いとも簡単に裏切ってくれる。“こうしよう”と思っても絶対にそうはならない。それがかえって気持ちがいいですね。」

尽きる事のない石への執着が、石花を制作へと向かわせる。

「何千年か何万年かわからないけれど、石はずっと転がってんだよなぁという気持ちがあって。もし我々が絶滅してもシレーっとそこにある。石ころ最高です!」