54

奥下 和彦
[ おくした かずひこ ]

2015.04.18

 

奥下 和彦(おくした かずひこ)
[ 映像作家 ]

“あやとり”のような赤い糸が、まるで生きているかのように動き、人間の成長を次々に表現していく「報道ステーション」のOP映像『成長編』。生み出したのは、映像作家 奥下和彦。有名アーティストのミュージックビデオや海外企業の広告アニメーションも手掛ける奥下。その特徴は、1本の線で次々に場面を描く“一筆書き”。

「アニメーションの基になる映像を実写で撮影して、その映像を一コマずつ一筆書きでなぞっていきます。1秒間のアニメーションに12枚の画が必要なので、1作品で数百枚から数千枚の画を並べて連続して動いて見えるようにしています。最初のアニメーション作品『赤い糸』を作ったのは、大学時代のほろ苦い思い出がきっかけです。大学生の頃に付き合っていた彼女にフラれて、しばらくの間何も手につかなくなってしまったんです。そこで、彼女との縁や関係性を“赤い線”を使い“一筆書き”で描けば何か表現出来るんじゃないかと思い始めました。」

失恋を経験し、人との縁を意識しはじめた奥下。そこに込められたデザイン・コードとは…

【見えないつながり】

「地球上に生きている人は、一見それぞれが関係ないように見えても、実は抱えている悩みが同じだったりするもので、“見えないつながり”があるんじゃないかと思っています。僕は作品を通して、目には見えない人と人とのいろいろなつながりを表現したいと思っています。“誰かが誰かの役に立っている”という気持ちを昔から抱いていたので、「報道ステーション」のOP映像『職業編』では、“職業”を通じた人間のつながりを表現しました。服屋さんはコックさんに美味しい食事を作ってもらい、コックさんは農家の方に新鮮な野菜を作ってもらう、という“つながり”を表現しました。」

インターネットで世界中に作品を発信する奥下には、ある秘めた思いが…。

「まるで教科書に書いてある言葉みたいですけど、誰もが同じ人間で、つながりがあることを意識して生きてもらえると嬉しいですね。」