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大野 友資
[ 建築家 ]

2015.03.14

 

大野友資(おおの ゆうすけ)
[ 建築家 ]

手のひらサイズの本を360度開くと、現れたのは立体的な富士山。360度どこから見ても楽しめる、ジオラマのような本『360°Book』。作ったのは、建築家 大野友資。

「冊子になっているメモ帳を見た時に“これを使って立体の作品が表現できるんじゃないかな”と思いついたのがきっかけですね。制作方法は、建築の仕事で使うパソコンの三次元ソフトで設計をして、赤外線のレーザーで空洞となる部分を1ページずつくり抜き、それらをつなぎ合わせて出来上がります。ページ数にはこだわっていて、密度的に40ページが一番立体を表現できるし、外から見ても、完成した時にできるシルエットが良く分かるページ数なんです。」

建築技術を駆使して作られた、唯一無二の立体アート。そこに込められた、デザイン・コードとは…

【1シーンを切り取る】

「『360°Book』は、あえて物語の1シーンだけを切り取っているんです。キャラクターと中の情景だけを作って、あとは見る人の想像にお任せしています。こちらは、本全体をチーズの洞窟に見立てて、その中でねずみが遊んでいる1シーンを描いた『360°Book IN A CHEESE』。ねずみが中の厨房で何かを作っていたり、チーズを切り崩してイスやテーブルの形にして遊んでいるような作品です。童話 ジャックと豆の木の1シーンを描いた『360°Book JACK AND BEANSTALK(ジャックと豆の木)』は、巨人の手が上から伸びていて、ジャックが蔦を伝って逃げている一瞬を切り取った作品になっています。」

高度な技術なしにはできない作品だが、大野は…

「“すごいだろ?”と言って見せるよりは、“ここをよく見たらすごくない?”と言われるような、そのくらいのバランスで技術は使うべきじゃないかなと思っています。」