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山﨑 利幸
[ 鉛筆彫刻家 ]

2015.03.07

 

山﨑利幸(やまざき としゆき)
[ 鉛筆彫刻家 ]

ゆらゆらと揺れる金属の鎖に見える物体。実は、1本の鉛筆の芯を折らずに削って作りあげた、アート作品。生み出したのは、鉛筆彫刻家 山﨑利幸。海外の鉛筆彫刻作品に影響を受け、見よう見まねで始めたという山﨑。最も得意なモチーフは、アルファベットや漢字などの文字。

「作品『祝入学』という鉛筆彫刻のように作品の文字自体がメッセージになることもありますし、作品『返事は0.2秒』などのように私の好きな言葉や気持ちを彫る場合もあります。一文字彫りあげるのに、15分ほどかかりますね。難しいのは画数の多い漢字。漢字を作るときって、それぞれの漢字が持つ辺と辺の間の四角い穴を、いかに綺麗にバランスよく仕上げていくかが重要なので神経を使うすごく難しい作業です。」

細くて脆い鉛筆の芯にこだわる山﨑の作品。そこに込められたデザイン・コードとは…

【折れるからこそ作り続ける】

「折れないもの・折れにくいものを削る人なら、他にたくさんいるのでは?と思います。鉛筆彫刻は儚くて折れやすいからこそ、挑戦心をかき立てられるんです。作品『アルファベットA~Z』は、タイトルの通りアルファベットのAからZの26文字を鉛筆の芯から彫り上げました。実は1本目は折れてしまって2本目なんです。1本目の時にはどこまで削れば折れるのか、芯の強度が分かっていなかったので、折れた時には頭の中が真っ白になりましたね。でも“折るのは鉛筆だけにして、心は折らずに次に頑張ればいい”と再び彫り直したんです。」

鉛筆だけでは飽き足らず、わずか0.5ミリのシャープペンシルの芯での彫刻にも挑んでいる山﨑。

「ただ単に鉛筆を削っていることでしかないんですけど、鉛筆彫刻で日本一になりたいと思っています。」