和田 永(わだ えい)
[ アーティスト/ミュージシャン ]
ライブ会場に流れるデジタル音楽。音源は…なんとブラウン管テレビ。
演奏するのは、和田永。古い家電を使い、楽器を作るアーティスト。
ブラウン管テレビが発する静電気を手から体の中に通し、足につけたコイルで受けて音に変換する、不思議な楽器。作ったきっかけは…
「ある日、間違えて音声と映像の端子を逆に挿しちゃったんです。画面に縞模様が映って、“ビーーっていうノイズ音”が出てきて、これは楽器にできるのではないかと感じました。」
既存の楽器では生み出せない奇妙な音楽。
そこに込められたデザイン・コードとは…
【パクチーのようなサウンド】
「違和感がありつつもクセになる。パクチーのようなサウンドに出会う感覚がありますね。」
古い扇風機で作った楽器は、羽根の後ろ側に取り付けられたライトの光を、右手に持つセンサーで受けて音に変換している。ライトの光が、回転する扇風機の羽根で遮られることで光に強弱が生まれ、独特な音色を響かせる。
「扇風機の“鳴き”と僕は呼んでいるのですが、ギューーンっていう風に、すごく特徴的な音なんですよね。既存の楽器では響いてこないような音、この楽器にしか出せない音の波みたいなものは、クセになっちゃいますね。」
ただ、不便なこともあるようで…。
「扇風機は古いものを使っているので肩が凝りますね。昭和の重みがあるんですよ(笑)」