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足立 篤史
[ アーティスト ]

2017.12.09

 

足立篤史(あだち あつし)
[ アーティスト ]

古新聞を、何枚も切り貼り合わせて作ったのは、全長1メートルの軍艦。
作ったのは、古新聞や古雑誌で主に乗り物をモチーフに制作するアーティスト足立篤史。

「この作品は“軍艦 長門(ながと)”をモチーフに作りました。アンテナや手すりなど緻密に作りこんでいるので、細部まで見てもらえるとうれしいです。20世紀に活躍した乗り物に、すごく惹かれるので作ることが多いです。」

作品を作る上で足立がこだわるのが、材料の“古紙”。

「その乗り物が存在した時代の新聞や雑誌を使っています。さらに、その乗り物に関連した記事を使うようにしています。例えば、“零戦(ぜろせん)”をモチーフにした作品では、その当時の新聞を捜し出し、『総力戦』、『決戦』といった戦闘に関する記事を使って制作しました。」

材料集めも含めると、完成までに半年ほどかかることもあるという足立の作品。
そこに込められた、デザイン・コードとは…

【歴史を乗せる】

「乗り物の歴史を乗せたい。」

乗り物が作られた歴史的背景にも興味を持ってほしいという。
ブルドーザーをモチーフにした作品では…

「このブルドーザーは元々、戦車だったんです。しかし、戦後に武装解除された際、ブルドーザーとして改造し、日本の復興のために活躍したという歴史が、非常に面白かったので作りました。
だから、この材料に使った古新聞は『復興』や『平和』に関する記事を使いました。」

手に入れづらい古新聞や海外の雑誌も、作品のためにと八方手を尽くして入手する足立。
だからこその悩みが…

「入手した当時の資料を読み返してみると、歴史的に貴重な資料だったりすることがあるんです。
そういう時は、苦労して入手したものでも、作品制作には使わず、大切に保管したり、飾ったりしますね。」