162

小玉
[ グラフィックデザイナー ]

2017.06.10

 

小玉 文(こだま あや)
[ グラフィックデザイナー ]

白地に赤く不思議な模様が描かれた日本酒の瓶。これを魚の形に切り抜かれたパッケージに入れると…
「錦鯉」が。手掛けたのは、グラフィックデザイナー 小玉 文。

老舗の酒蔵からの「斬新なパッケージにしてほしい」という依頼に、「錦鯉」を選んだ理由がある。

「戦後の物資がない時代、お酒を水で薄めて販売していた蔵もあったらしいです。その薄めたお酒は“金魚が泳げるくらい薄い”と揶揄(やゆ)されていたそうですが、そんな時代にこの酒蔵はお酒を薄めずに“俺たちの心意気は金魚ではなく錦鯉だ”と言って売っていたんです。それで錦鯉をモチーフにしました。」

身近なものに意外なデザインを施す小玉。マスキングテープには日本刀の模様が。

「テープと刀、全然違うものを組み合わせると結構面白いものができるんです。
刀がロール状になっているという意外性も面白いんじゃないかなと思います。」

見る者を釘づけにする小玉の作品。そこに込められたデザイン・コードとは…

【第一印象「なんじゃこりゃー!?」】

「見る人が“興味を持つ”っていうのは、“疑問を持つ”ということに近いのかなと思いますね。」

一見、金魚すくいに使うポイに見える紙の正体は…

「暑中見舞いのはがきとして作りました。金魚柄の切手を貼れば、実際にすくっているように見えるんです。」

バナナに見えるのは…

「2016年 申年(さるどし)の年賀状として作ったものです。バナナの絵には切り込みが入っていて、
そこをめくると、バナナの皮がむけたように見える仕掛けも作りました。」

ユニークな作品を通して、見た人に感じて欲しいことがあるという。

「面白いデザインって、言葉以上に心意気が伝えられると思います。」