144

増田 敏也
[ デジタル陶芸家 ]

2017.02.04

 

増田敏也(ますだ としや)
[ デジタル陶芸家 ]

何気ない朝の食卓風景。しかし…ごはんや目玉焼きが、まるで粗いCGのように見える。実は、この食卓の風景はすべて、陶器で出来ている。
手掛けたのは、デジタル陶芸家・増田敏也。

「僕が小学生くらいの時にどハマりしたテレビゲームのカクカクした映像を、立体化して手にしてみたいという気持ちが強くあって作りました。」

デジタルな作風とは裏腹に、パソコンは一切使わず、全て手作業で作り出す増田。
陶器にこだわる理由がある。

「縄文土器や弥生土器など焼き物という素材は長い時間残る素材ですので、自分の作品を未来に残すというところに焼き物で作る理由があるかもしれませんね。」

未来永劫、残ってほしいと願う増田の作品。そこに込められたデザイン・コードとは…

【時代を残す】

増田が作るのは、日用品をモチーフにした何気ない日常の風景。
吸い殻がたまった灰皿は…

「男性が吸ったと思われる吸い殻の中に、口紅の付いたタバコが1本。男性が女性を長い時間待ちわびていた様子を描きました。その時代だから生まれたモノや風景ってあると思うんですね。やがて失われていくようなものを残していくのも大事だなと思っています。」

作品を長く残したい故に、陶器にこだわる増田。しかし時には…

「焼き上がりで窯を開けたら木っ端みじんになっていたりして、そりゃもう本当に涙が出そうになることは多々ありますよ。この歳でもグレたろうかなと思いますけどね。」