佐藤法雪(さとう ほうせつ)
[ 猫人形作家 ]
屋根の上に一匹の猫。実はこれ、羊毛でリアルに作った猫人形。生み出したのは、猫人形作家 佐藤法雪。学生時代に猫好きの知人から言われた一言がこの道に進むきっかけだったという。
「私が“リアルな猫人形を作ろうと思っている”って言ったら、“リアルな猫の人形なんて作れるわけがない”と言われたんです。それが悔しくて、絶対に作ってみようと思いました。」
針で羊毛を何度も刺して毛の質感までリアルに表現するが、あえてひげや爪はつけないという。
「ひげや爪などがなくても、猫の一瞬の動きを取り入れることで、猫に見えるクオリティーを目指しています。」
一体におよそ一ヶ月もの時間を費やす佐藤。
その作品に込められたデザイン・コードとは…
【かわいいに陥(おちい)らない】
「猫自体がかわいいので、かわいく作ろうと目を大きくしたり顔を丸くしたりデフォルメしてしまうことが多いんです。
かわいいという先入観を捨て、ありのままを表現することが大事ですね。」
例えば、凶暴な表情でマタタビをかじる猫を再現した作品では…
「マタタビのように好きなものに対しては、牙をむき出しにしてかじりついたりすることがあるんですね。そういう猫の凶暴な表情もちゃんと作ってあげることでリアルさが増すと思います。」
猫人形を作り続けおよそ20年。納得がいく作品はいまだないという。
「リアルな猫人形作りというのは、できたと思ったら次々に問題点が出てくるんです。
生涯をかけて取り組んでいける非常に面白い題材だと思います。」