青山悟(あおやま さとる)
[ アーティスト ]
校庭を描いた風景画のような作品。実はこれ、全て刺繍で作られたもの。
生み出したのは、アーティスト・青山 悟。作品には、刺繍ならではの苦労があるという。
「糸は絵具と違って色が物理的に混ざらないから、たくさんの糸を使って自然な明暗をつけていくしかないんですよね。」
製作に半年かかることもあるというが、あえてミシンを使う理由がある。
「自分の作品と自分自身の間に何か1つ機械を入れたかったんです。作品と1つ距離を置きたかったんです。」
ミシンを媒介することで作られる独創的な作品。
そこに込められた、デザイン・コードとは…
【想像がつかない要素】
ミシンを使うことで思いもしない作品に仕上がるという。
布ではなく、紙に刺繍をした作品『News From Nowhere #1』では…
「紙に縫うと、細かく裁縫しようと思っても破けちゃうので出来ないんです。でも実はアバウトになってしまった部分が、本物のスカートのように3Dに浮き上がって見えてきて面白くなるんです。」
さらに、古い西洋絵画の紙に刺繍をした作品では斬新な仕掛けも。
「描かれている女性の洋服の部分にゼブラ柄を刺繍しました。この時代にゼブラ柄があったかは知りませんが、過去のプリントに現在の要素(ゼブラ柄)を組み合わせて刺繍で表現したら面白いのかなと思ったんです。」
相棒はレトロな足踏みミシン。
「手でハンドリングをして足でアクセルを踏む、まるで車の運転みたいなものだから、
6時間で勘弁してくださいって思いますね。」