ピアノの詩人“ショパン”は４曲の即興曲を作曲しました。この曲は数あるピアノ曲の中で、最もよく知られる作品のひとつです。この“幻想”というタイトルはショパンの死後友人のユリアン・フォンタナが名づけました。辻井さんと佐渡さんを結び付けた思い出の１曲です。

公私ともに仲の良い、佐渡さんと辻井さん。ある時、辻井さんは佐渡さんの奥様にこの曲をプレゼントしたそうです。

優れたピアニストだったラフマニノフはピアノ音楽の傑作を数多く残しました。彼の手は巨大で、親指から小指までの距離は１オクターブと６度、つまりドの音と１３度上のラの音を片手で同時に押さえることができたそうです。その長い指を自在に操って弾くことを目的とした彼のピアノ協奏曲には、超絶技巧がふんだんに盛り込まれています。また映画音楽として使われたクラシックの元祖であるこの曲は、甘く切ない“ラフマニノフ節”がたくさん詰まっています。今回演奏する第３楽章は、そのメロディの美しさもさることながら、クライマックスに向かって盛り上がる音楽の大きなうねりはラフマニノフの真骨頂です。