題名のない音楽会 毎週日曜あさ9時

1月19日の楽曲紹介

♪1:SF交響ファンタジー第1番 より
伊福部昭は映画音楽を約300本手がけたが中でも怪獣映画は20本強作曲し支持されている。「SF交響ファンタジー」は全3作。伊福部昭の手がけた怪獣映画のメドレーとなっている。この第1番は「ゴジラ」「宇宙大戦争」などの作品から構成し、オーケストラ用に作曲。今日は抜粋演奏。
♪2:日本狂詩曲 第2曲「祭」 より
独学で作曲を学んだ伊福部昭が21歳の時に書いた初のオーケストラ作品。パリ在住の有名作曲家である、チェレプニン、イベール、オネゲルなどを審査員としたチェレプニン賞で、1935年に1位を獲得。翌年アメリカで初演。厳正な国際的審査を通して初めて認められた日本の管弦楽作品である。この成功の背景は、当時、日本の大部分の作曲家がヨーロッパ古典、ロマン派音楽に近づこうとしたのに対し伊福部昭の、アイヌ民族音楽に憧れ親しんだ土俗的で独創的な音楽が新鮮で斬新だったためと言われている。賞を与えたチェレプニンは「ヨーロッパの音楽が行き詰まり東洋の音楽によって再生しなければならない」と述べていた。なお、演奏用の譜面が紛失していたこの作品をこのたび弟子の和田薫が整理し全曲演奏可能にした。
♪3:シンフォニア・タプカーラ 第3楽章  1979年改訂版
伊福部昭40歳の時の作品。今でも人気の高い伊福部の代表作。「タプカーラ」とはアイヌの言葉で“立って踊る”意味だが、伊福部は「タプカーラやろうか」のように“興が乗ったら踊る”というイメージで作曲。しかし、タイトルとは異なりアイヌの音楽からは音型など音楽的な影響は受けていない作品。伊福部昭はこの作品を代表作「ゴジラ」と同時期に作曲。なお、本日は1979年改訂版で演奏。

作曲 : 伊福部 昭
指揮 : 佐渡裕
演奏 : 日本フィルハーモニー交響楽団