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#015 2003年1月18日放送
国  名:スェーデン
スェーデンで家具作りの修業
〜国家試験への挑戦〜


TV-Asahi
須藤さん一家プロフィール
須藤生(27歳)
  和恵(27歳)
放 送 内 容
今回の地球家族は、スェーデンはエーランド島で木工家具作りの修行をしている須藤生さんとその妻、和恵さん。
生さんは2年前、世界的な家具デザイナー、カール・マルムステンが設立した手工芸学校「カペラゴーデン」で学ぶためにスェーデンにやってきました。古い村一つを買い取り、農家をそのまま使って校舎にしており、そのゆったりとした環境の中で、世界各地から集まってきた優秀な若者たちが木工や陶芸を学んでいます。
二人は、生さんがスェーデンから一時帰国したときに偶然再会し、遠距離恋愛の末結婚しました。和恵さんは現在妊娠5ヶ月。学生結婚なので、収入はなく、最初は不安ばかりだったという二人ですが、年間100万円を学校に納めれば、学費、食費、家賃が全てまかなわれます。夫婦であれば、食事も学校の食堂で一緒にとれるし、住まいは学生寮。テレビがないなど、贅沢はできませんが、なんとか二人で生活をしています。




実は、生さんの父親はドイツでパイプオルガンの製作を学んだマイスター。日本有数のパイプオルガンを手がけるこの道の第一人者なのです。自分が海外で修業した経験から、生さんにも海外での修業を勧め、また、早い結婚にも理解を示したのでした。




しかし、これから生まれくる子供のためにも、生さんはなんとしてでも、職人資格試験に受からなくてはなりません。今年学校を卒業する生さんですが、なんと、その国家試験を受けることを担任の先生が認めてくれないという深刻な事態になってしまいました。
生さんにはまだマスターしていない技術がたくさんあるということで、先生が受験資格がないと判断したのです。生さんが家具デザイナーになるためには、他の学校に進む以外選択肢はなくなりました。そこで、今度は転校を認めてもらうために課題に取り組むことになりました。課題は戸棚です。




戸棚作りには「蟻組み」と呼ばれる高度な技術が必要です。板と板の間に少しでも隙間ができてしまうと板を切り出す行程からやり直さなければなりません。その微妙な調整に慎重に取り組んでいきます。作業途中で板が割れてしまったり、サイズが合わなくて引出しが入らなかったりの悪戦苦闘が続きます。




課題提出の時がやってきました。木工芸科の生徒が全員見守る中、生さんの戸棚のチェックが始まります。審査するのは、職人試験の受験を認めなかったキャレ先生です。まず、引出しの開け閉めの確認から始まり、細部の仕上げ状態を念入りにチェックします。判定が下されるまでの時間を生さんはじっと待ちました。そして・・・
「OK、いい仕事だ。」キャレ先生のその一言に見守る生徒たちから拍手が沸き起こりました。
生さんはやっとキャレ先生に認められたのです。
いつも厳しいキャレ先生の顔にも笑顔が浮かんでいました。「僕は彼がこのくらいできることは知っていたよ。でも彼はそれを僕に見せなければいけなかったんだ。」先生は、生さんが本当に実力を見せてくれる日を待っていたのでした。
まず一歩。職人になる道はまだまだ長いけれど、若い二人はしっかりと手を取り合って、北欧の大地を歩み続けるのです。

TV-Asahi