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#002 2002年10月12日放送
国  名:タ イ
タイで衣料品工場を営む家族の奮闘記
〜父と息子の夢への挑戦〜

TV-Asahi
尼口さん一家プロフィール
尼口 武信(43)
   茂美(43)
   優樹(15)
   1980年結婚
放 送 内 容
平均気温28度の熱帯の国、タイ。日本より広い土地に、日本の半分の人々が住んでいます。
今回の主人公は、この国、タイの首都バンコクで衣料品工場を営んでいる家族です。
ご主人は尼口武信さん、通称タケさん。今年で結婚22年目を迎える妻の茂美さんとバンコクのインターナショナルスクールに通う一人息子の優樹君の三人家族。9年前、家族でタイにやってきました。
タケさんの経営する衣料品工場は家の隣にあります。
工場で働くのは現地で採用されたタイ人女性22名。
タケさんは安い給料で働かせる日本人のあり方に疑問を感じていたので、スタッフには高い給料を払い、きめこまやかな気遣いをしているので、これまで辞めていった人は全くいないそうです。
タケさんは、受注生産だけでなく自らのデザインで衣料品を作り、高級デパートで卸売りをしています。

そもそもタケさん一家がタイにやってきたのは、9年前、もともとタイにあった実家の工場を手伝うためでした。訳あって、その工場を退職し、一時日本に帰国したのですが、やはりタイの生活の方が自分に合っていると感じ、今度は自分の工場を開くためにまたタイに舞い戻ってきたのでした。そして、そんな思いつきともいえる挑戦につきあわされたのが奥さんと息子さん。
それまでの専業主婦から一転、タイ語も覚え、工場の経営を支えています。息子の優樹くんは小学5年生のときにタイに連れてこられたのですから堪りません。最初は、訳もわからず戸惑っていましたが、現在はタイ語も堪能になりました。学校の合間に手伝う際も、こまやかな指示が出せるほどです。

現在タケさんは、新たな挑戦に挑んでいます。それは、初めての直営店をオープンすること。
工場は自転車操業と言うタケさんにとっては、本当に思い切った決断だったでしょう。
息子の優樹くんも彼なりに心配していました。そして、なんとかお父さんを助けようと思い、あることを思いつきます。
それは、Tシャツのデザインを自分で描くこと。実際、お店のオープン時に店頭に並べる商品のデザインは足りていなかったのです。
優樹君はそれまでにもデザインをこっそり書きためていましたが、仕事に厳しいタケさんが認められるものではありませんでした。優樹君はなんとかお父さんに認めてもらえるデザインを作り出すため、タイのファッションの中心地である、サンデーマーケットやサイアムスクエアに出かけます。
そして、気になるものを書き留め、写し取りながら、さまざまなデザインをを思いつき、何枚も何枚もデザイン画を描きました。

その中からいくつかのデザインがお父さんに認められたのです。と同時に、次の厳しい試練が優樹君に与えられました。それは、出来上がったTシャツ20枚をテスト販売で全部売ること!
優樹君は、通りに面した店先にTシャツを並べ、生まれて初めての販売を体験します。
一生懸命行き交う人に声をかけても、笑うだけで誰も取り合ってくれません。物を売ることの厳しさを実感する優樹君。時間はどんどん過ぎていきます。くじけそうになるのをぐっとこらえ、道行く人に声を掛け続けました。
そして、ついに、最初の一枚が売れたのです!
何度も何度も手を合わせてお礼を言う優樹君。そうこうする内に、先ほどの閑古鳥がウソのように次から次へとお客さんが現れ、20枚のTシャツは全部売れていきました。あまりの嬉しさに、お客さんに握手を求めるほどでした。
お父さんとお母さんに報告を!大急ぎで家に帰りました。
「こんなに嬉しいことはない」とお父さんとお母さんの目には涙が溢れていました。
TV-Asahi