出演者コメント

長野さんコメント

 今年に入ってから、アメリカでは中西部を中心に、トルネードや大洪水で多くの被害が起きています。

 トルネードの被災地をいくつか取材しましたが、美しい住宅街が、一瞬にして焼夷弾が襲ったように焼け野原になり、家や家族を失った人々が呆然と立ち尽くしていました。

 その一方で、山火事が拡大したり、長期にわたる干ばつで水不足が深刻になっている州もあり、アメリカ全体が、まるで「ドライ」と「ウエット」、つまり、異常な降雨にあえぐ地域と、まったく雨の降らない地域に2分されてしまったかのような状況です。

今回私は「世界で誰よりも早く温暖化を警告した人物」のもとを訪ねました。
 NASAゴダード宇宙科学研究所のジェームズ・ハンセン所長です。ハンセン博士は80年代からアメリカ政府に温暖化の危険性を訴え続けたにも関わらず、政府は彼の警告を無視するばかりか、議会に提出した「気候変動報告書」を改ざんしました。
 「温暖化はアメリカの政治・経済にとって不都合な存在だった」とハンセン博士は言います。「しかし、今から数年がティッピング・ポイント。
 つまり、それを超えると事態を止めることができなくなる。その前にCO2の排出を何としても減らさなければならない」というのです。

 しかし、アメリカ政府は依然ハンセン博士の忠告に耳を貸そうとはしません。アイオワに行くと、とうもろこし畑の中にバイオ燃料の工場がもうもうと白煙を上げて稼動していました。
ブッシュ政権が推し進めるバイオエタノールは、食糧高騰の面からも批判が高まっていますが、そもそもバイオ燃料を生産するために、多大なCO2を排出するという問題があるのです。

アメリカ政府がバイオ燃料を推進するのは、本当に環境のためなのでしょうか。
 この疑問に、元政府職員のピルツ氏はこう答えました。「バイオ燃料推進の裏側には穀物メジャーのロビー活動がある」

 一体、アメリカで今、何が起きているのか。アメリカを襲う巨大トルネード密着取材もあわせ、ぜひ、ご覧ください。

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