出演者コメント

古舘さんコメント

『地球危機2008〜10年後の私たちへの手紙〜』

今、私たちは一体、いくつの問題に直面しているのでしょうか。

思い出してください、今年に入ってからいくつの危機が世界を襲ったかを。
ミャンマーのサイクロン、中国四川の大地震、食糧危機と竜巻の異常発生、その背後にある地球温暖化。
痛ましいニュースが、日々、私たちのもとに届けられます。
でも、心のどこかで他人事だと思っていないですか。
自分たちだけは大丈夫だ、と目をそむけていませんか。

しかし、よく考えてみてください。
遠い国で起きている異常気象も、食糧危機も、私たちに直接連鎖しているのです。
人は自分の身に直接、危険が降りかからないと、なかなかそれを実感しません。
けれど、今回ばかりは、それでは遅すぎるのです。
だから、私たちは深く認識しなければいけないと思うのです。
彼らの危機は、私たちの危機。
地球上で暮す以上、もはや他人事などではない、この地球全体の危機なのです。

来る7月、地球温暖化対策、食糧問題を主眼に洞爺湖サミットが開かれます。
しかし、この会議に向けて、各国のリーダーが語る言葉を聞くにつけ、
私はとても空しくて、悲しくて、切なくなるのです。

たとえば、2050年にCO2を50%削減・・・。
どう考えても、おかしな話だと思いませんか。
いきなり42年後の2050年に目標を掲げている。
それを実現させるための具体的なプロセスはどうする?
その具体案が見えないのです。
今、私たちが享受している豊かさはCO2を撒き散らして得たものです。
それで、本当にCO2を50%も削減できるのでしょうか。
私たちはそれを信用できますか。

42年後。
おそらく、私はもういないからいいです。
しかし、私の子どもはいます。その子ども達もいるかもしれません。
彼らに対して、本当に約束を果たすことができるのでしょうか。
42年後の嘘になってしまうのが怖いのです。

私たちに今できることは何なのでしょうか。
確かに地球規模の危機の前に、私たち一人の人間の力はあまりに小さいものです。
私一人が努力しても・・・そう無力感に襲われることもあります。
その一方で、自分の子どもや、その子どもたちには、
自分と同じように暮してほしいと切望するのです。
自分たちの豊かさのせいで、子や孫達の世代を苦しませたくない、
そう思いませんか。

少なくとも、今、目の前に見える人たちに対して、
私たちが果たすべき責任があるはずです。
その責任を放棄してしまったら、これから先の世代だけではなく、
自分たちをここまで育ててくれた世代に対しても、申し訳が立ちません。
ならば、私たちは、これから何をするべきなのか。
それを、皆さんと一緒に考えていきたいのです。

そして、洞爺湖サミットに参加する、私たちよりも力のある方々には、
地球人として、同一な価値観で議論してほしいのです。
ニコニコと握手をしながら、各国のエゴをぶつけるのではなく、
あくまで自分の家族に対してどう責任をとっていくのか。
そんな気持ちで、人類の大切なこの大問題と向き合ってほしいのです。

この番組が、今、私たちが直面している問題について真剣に考える、
そのきっかけとなることを祈ってやみません。

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