ローマ帝国は気候変動で滅んだ

 かつて繁栄を誇ったローマ帝国。当時世界で類を見ない巨大都市で、ローマ人は享楽を極める生活を営んでいた。そしてそのローマ帝国は、気候変動が原因で滅亡の道を進んだことが、
イスラエル死海の地層の調査によって明らかになった。
 ローマ人の豊かな生活は環境破壊の原因となった。そのひとつが森林伐採。
カラカラ浴場では冬季の3カ月に27haの森林相当の薪が使われていたようで、3~4世紀には
ローマ帝国の森林伐採はタガがはずれたように進んでいく。
 その結果、トルコの港湾都市エフェソスでは、森がなくなった上流から土砂が流れ込み、港が機能しなくなった。湿地帯が増えてマラリアなどの疫病が発生。

他にも銀貨を精錬する薪の不足で銀の産出量が減少、経済の繁栄を支えた鉱山は
廃鉱と化す。そしてローマの国力は衰えて滅亡への道をたどる。
 このローマ帝国の繁栄と衰亡に重なるのが現在のアメリカ。資本主義の拡大を推し進め続けるアメリカに、私たちは何を読み取るのか。