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・0.008%の水
地球は「水の惑星」とも言われているほど、水が豊富な星だ。しかし、その内訳を見てみると、海水などの塩水が
97.5%を占めている。残り2.5%の淡水のうちの2%は氷河などの氷。残りの1%もほとんどが地下水で、人間が 使える淡水は、地球上の水全体の0.008%しかない。 そんな中、深刻なのは淡水資源の収奪だ。水は人間にとってなくてはならないものだが、この水も今世界中で 使い尽くそうとしている。 地球上の水のわずか0.008%に、人間や陸上動物のほとんどが依存して生活しているが、この水を人間は大量に使ってきた。この100年間に8倍近く水を使うようになった。人口は3倍程度にしか増えてないので、1人あたり使う 水は飛躍的に増えたのだ。 2025年には80億人中50億人もの人が水不足に陥る計算になる。 ・IPCC(気候変動に関する政府間パネル) 地球環境問題を検討するために1988年に設立された、国際連合の下部機関。 IPCCによると、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の濃度を今後36%増で食い止めて安定させるには、 1人あたりの二酸化炭素の排出量を1900年頃の水準にまで戻さなくてはならず、温暖化対策の困難さが分かる。 数年おきに発行されるIPCCの「評価報告書」は、地球温暖化に関する世界数千人の専門家の意見を集めたもので、国際政治および各国の政策に強い影響を与えつつある。 ・アーバン鉱山 科学技術の進歩でレアメタル、中でも金の需要が高まっている。 しかし、近い将来に金鉱山も枯渇が予想されている。 鹿児島県にある菱刈鉱山は世界一優秀な金鉱山で、金鉱石1tから60gの金が採れる。ところが、携帯電話1t集めると200gの金が採集できる。つまり、私たちの身の回りに宝の山、豊富な鉱山がこの大都会に眠っているのだ。 ・ウッド・マイレージ フード・マイレージを木材に応用した指標。(輸入した木材の量)×(木材の産地からの輸送距離)で表さる。 例えば長野在住の人がシベリア産の木材で家を建てると、地元長野産の木材で家を建てるのに比べ、7倍の 炭酸ガスを出すことになる。このように、遠くから木材を運ぶといかに環境に悪い影響を与えるかが分かる。 ・エコロジカル・フットプリント 「エコロジカル・フットプリント」という概念は、食べ物のために森林を破壊して畑にしたり、建物を建てるために農地を潰したり、人間が生きるために必要な自然を土地面積で表したもの。 日本人の現在の生活のためには、1人あたり4.3ha。東京ドーム程度の土地と水面が必要。しかし実際の面積は 1人あたり0.7haしかない。残り3.6haは外国の土地を使っているということになる。 世界平均は1人あたり2.2haで暮らしている。しかし、地球の表面積のうち南極大陸や砂漠などを除外し、人間が使える部分を人口で割ると、1人あたり1.8haしかない。65億人の人口を養うために、地球が1.3個ないと生活できないことになり、完全にパンクしてしまっているのだ。 今世界で飢餓状態の人が年間5000万人。 餓死する人が年間900万人、水が飲めなくて死ぬ人が500~1000万人いる。 彼らの犠牲の上で、私達がこうやって暮らせるのだ。 ・海面上昇はなぜ起こる? 地球温暖化が引き起こす海面上昇。なぜ、このような事態が起きるのか。主な原因はこうだ。 一つは、気温の上昇に伴い、海水の温度が上がり、海が膨張する。これが50%。 さらに、山岳氷河の融解で30%。ほか、グリーンランドや、南極の氷床がどんどん溶け出し、海水の量が増え続けている。地球の自転の遠心力で、赤道付近が海面上昇の影響を受けやすい。海面が今世紀中には最大で59センチ上昇すると予測されている。 もし50センチ以上海面が上昇すると、世界の沿岸地域は水没の危機に直面する。東京でも同じ現象が起こる可能性がある。そして、海面上昇によって数億人の環境難民が出ると予測されている。 ・仮想水 「食料の輸入は、その生産に必要な水も輸入しているのと同じ」という考え。農産物の輸入により日本は水資源を節約できるが、そのかわりに輸出国では栽培のための水が消費されており、この国外で使われた水のことを 「仮想水」と呼ぶ。 日本は食料の60%を輸入に頼っている。例えば海外で1トンの小麦を育てるためには2000トンの水を使う。 ほかにも大豆やトウモロコシ、豚肉などの仮想水を合わせると、日本は627億トンもの大量の水を輸入していることになる。 ・京都議定書 地球温暖化防止のために、先進各国が二酸化炭素の排出を減らすことを定めた「京都議定書」。 日本では2008年から2012年までに二酸化炭素などの排出量を90年に比べ6%削減することを約束している。 しかし、最近は排出量が増加しており、約束を果たすためにはさらなる削減が必要。 また、世界最大の二酸化炭素排出国であるアメリカは京都議定書を脱退。二番目の排出国である中国や、 1人あたりの排出量が世界最大のオーストラリアは参加しないなど、足並みは揃っていない。 ・森林の重要性 アマゾンの熱帯雨林を衛星から撮った写真では、何千年もかかってできた森林がどんどんなくなっているのが分かる。特に最近、アメリカがバイオエタノールのために、ブラジルの森林が焼き畑農業で潰され、サトウキビ畑に変わっている。 世界中で森林は年間730万ha減っている。1日に換算すると、18ホールのゴルフ場約200カ所分が減っていることになる。あと500年で世界中が丸裸になる計算だ。 森林の消滅よりも前に人間は絶滅するだろう。木がなくなれば地球温暖化が一気に進むし、生物が住めないので、人間の食べる物がなくなってしまうからだ。 ・節約技術の開発 例えば10年前のテレビに比べ、今のテレビの電力消費はおよそ5分の1。冷蔵庫も今の製品の消費エネルギーは1/5、洗濯乾燥機は1/2.6です。10年前の家電を全部新品に買い換えると電気を6割削減できる。今は部品をリサイクルする仕組になっているし、買い換えた方がいいのだ。 白熱灯でなく電球型蛍光灯を使うほうがいい。また、より効率のいいLEDを使った新しい電球も開発されています。 もう一つ、ファクシミリやガス湯沸かし器など家電の待機電力も大きい。日本の総電力供給量の7%、北陸電力の総供給量の半分、沖縄電力の3倍に相当する量が待機電力としてムダに使われているのだ。 ・淡水資源 地球に存在する水のうち、塩分のない淡水は2.5%しかない。しかもそのほとんどは南極の棚氷や高山の氷河などで、人間が簡単に利用できるのはわずか0.008%。 人口の増加とともに生活排水は増加して水は汚れてきている。ちなみに中東のアラル海は琵琶湖の100倍の面積を誇っていたが、次第に縮小を続け、2000年には三分の一に縮んでしまった。原因は河川に流入する水を農業用水として大量に利用したため。このような問題は世界各地で起こっている。 ・地産地消 大量生産、大量消費に対して、近年「地産地消」という考え方が注目されている。 地域で生産した食べ物をその地域で消費するという発想で、輸送エネルギーが節約できるだけでなく、地場産業の発展にもつながるのだ。 現在日本では学校給食を中心に地産地消運動が進んでいるが、民間主導の活動への広がりが期待されている。 イタリアから出発した地産地消運動がスローフード運動で、地域独自の食材や料理を尊重する活動が注目されている。 ・縮み志向の日本人 1982年にイー・オリョンという韓国の学者の本「『縮み』志向の日本人」がベストセラーになった。韓国や日本は世界でも極めて例外的に、物事を小さくして豊かに生活している国民だと。 その究極が茶道だ。茶道の精神とは一杯の抹茶を見て宇宙を思うこと。茶道は「火水木金土」でできている。お湯を沸かすのに火と木を使い、抹茶には水、茶碗は土を使い茶釜は金。つまり宇宙の五元素を一点に集めたのが茶道なのだ。これだけ宇宙を縮められるのは日本人の発想だけである。 お客を招く迎賓館も、欧米は大きなマンション、日本は小さな茶室。欧米の居間は広い部屋に家具を置きますが、日本は坪庭の前に四畳半を構えて家具は座布団一枚でいい。 表現の世界でも、俳句では一つの世界をたった17文字で表現できる。多くの先進国は増えるということに大変な価値観を置いてやってきたが、日本は文化の中に「小さくする」「縮める」ということに価値を見いだすことを沢山持っている。これを世界に広めていくことが重要ではないか。 ・バイオエタノール サトウキビやじゃがいも、とうもろこしなどの植物で作られる燃料のこと。バイオエタノールは燃焼して石油同様に二酸化炭素を出しても、植物自体が二酸化炭素を吸収してできているので、二酸化炭素が増えたことにはならないと考えられる。地球温暖化防止には二酸化炭素を減らすことが重要とあり、バイオエタノールは地球にやさしいエネルギーとして期待されている。 ブラジルでは、ガソリンとエタノールのどちらを燃料としても走れる「フレックス車」と呼ばれる自動車が売り上げを伸ばしており、発売2年で新車販売の4割がフレックス車になった。 ・ハイブリッドイグアナ 南米大陸から1000km、太平洋の赤道上に浮かぶガラパゴス諸島。孤島において生物たちは独自の進化を遂げてきた。 82年、97年のエルニーニョ時に海草が激減し、多くが犠牲になったウミイグアナ。海中の食糧難から、中には、陸上の草を食べ出すものも出た。 そんな中、近年、新たなイグアナが登場。小さな島にて、過密になったウミイグアナのオスが、生息地が重なるリクイグアナのメスと交尾し、ハイブリッドが誕生した。リクイグアナは通常、木には登ることができず、サボテンの下で、好物の実が落ちてくるのを待つ。しかし、波の強い水中で岩場にしがみつくことができるウミイグアナと同じ鋭い爪を持ったハイブリッドは軽々と大好物のサボテンに登って補食できるのだ。 ・氷河湖の恐怖 世界の屋根・ヒマラヤ・・・。険しい山の谷間に蓄えられた氷河は、命をつなぐ巨大な水の貯蔵庫でもある。ヒマラヤに端を発する水は、やがて大河となり、アジア一帯を潤してきた。しかし、ヒマラヤの氷河は、地球温暖化によって、世界一のスピードで溶けている。 そして、溶け出した水は、巨大な湖『氷河湖』と化す。それが決壊すれば、大洪水を引き起こす恐れがあるのだ。 氷河湖はネパールだけで2000以上。その中で、いま世界中の専門家が注目している氷河湖が、急激に拡大してきたイムジャ氷河湖。標高は5000m以上。決壊したら、被害は一万人におよぶと言われている。しかし、すぐふもとの村人ですら、その現実を把握していなかった・・・。 ・ファクターX 「生活の豊かさは維持、向上させながら、エネルギーや資源の消費を減らす技術を利用する」という考え方。 ドイツの環境問題専門家、エルンスト・フォン・ワイツゼッカー博士が提唱。 販売商品や生活スタイルがいかに地球環境に優しいか、エネルギー効率が良いかを数値で表す。例えば、新型冷蔵庫の消費電力が旧型冷蔵庫に比べて1/4になった場合、ファクター4となる。逆に消費電力が同じでも、製造過程で環境負荷を1/4に抑えた場合もファクター4となる。 ヨーロッパが発祥だが、日本でも最近は「ファクターX」を商品の性能の指標の一つとして公表する家電メーカーが現れている。 ・フード・マイレージ フード・マイレージは、海外から1トンの荷物を1キロメートル運ぶと1トン・キロメートルという単位だ。輸送中多くの 食物は冷蔵・冷凍する。日本はフード・マイレージが世界一大きい国になった。例えばファミレスでレタスサラダを 頼むと、そのほとんどがカリフォルニア州サリナスという場所で作られ、そこでカットして冷凍して日本まで運び、 チェーン店から連絡があると解凍して配送する。輸送エネルギーだけでなく冷蔵・冷凍エネルギーも使うことになる。 それを象徴する1食が、コンビニ弁当。一般的な「幕の内弁当」は、それぞれの具材の産地との距離を合計すると、実に地球4周分になる。 |