【ch2】CSテレ朝でついに、剣道界の最高峰「全日本選抜剣道八段優勝大会」を放送⑦ ~実況解説収録~

    
CSテレ朝でついに、剣道界の最高峰「全日本選抜剣道八段優勝大会」を放送。
[Ch2]5/31(金)よる9時30分放送

 
テレビ朝日本社ビル内のスタジオにて、実況と解説の収録を行いました。いわゆる、後付け実況というやつです。実況アナウンサーと解説者の方には、終わってからしばらく経過している大会ですので、試合を振り返るつもりで、かつ、先のこともあまりネタバレしすぎないようにお話いただきました。

■解説は 古川和男 範士
解説は、今大会で審判も務められた、範士八段、古川和男さんに担当していただきました。1回大会に48歳で出場、第13回大会では60歳にして見事優勝されています。全日本選手権や、世界選手権でも活躍されていた古川範士は、指導者としても、長年にわたり東海大付属第四高校*(北海道)で教鞭をとられ、今回初出場で初優勝を飾った栄花直輝選手や去年の世界選手権で個人優勝を果たした安藤翔選手ら、多くの名選手を育てられました。テレビで剣道の解説をするのは初めてだったそうです。*現在の学校名は「東海大学付属札幌高校」


古川和男 範士八段 65歳(全日本剣道連盟 強化委員)写真:第13回大会優勝
 

実況を担当するのは、四家秀治さん。これまでも、CSテレ朝チャンネルの剣道放送で度々実況を担当してただきました。2000年には、日本の民放各局合同チームの代表メンバーとしてシドニーオリンピックの実況も担当された方です。剣道未経験者ながら、実況のためにいろいろ勉強していただいています。意外にも、昔は剣道のテレビ中継は結構頻繁にあったそうで、当時から見るのは大好きだったとのこと。昔の選手のことは筆者よりも詳しくて驚かされました。そもそも、剣道経験が豊富なアナウンサーというのは、筆者もかなり探しましたがなかなかいらっしゃいません。全日本選手権の実況を担当されているNHKの太田雅英アナウンサー(五段)はとても希少な存在なのです。


右:四家秀治アナウンサー 60歳(元テレビ東京)「川添哲夫さん、福之上里美さんは当時の大スターだった」と、昭和4050年代の選手をよくご存知でした。

■静寂の攻防戦
これまでCSテレ朝チャンネルでは、2014年から警察選手権を放送してきましたが、そこに出場している選手たちの約2倍の年齢の選手たちが出場するのが、この八段優勝大会。筆者も現場で肉眼で見るのは初めてでしたが、試合を見比べるとその違いは歴然。技の打ち合いは圧倒的に少なく、試合時間のほとんどが間合いの駆け引き。竹刀と竹刀が擦り合う音だけが会場に響きます。体力任せの攻め合いではなく、読み合い、まさに心と心の戦いです。お互いに技はなかなか出ないのですが、全く目が離せない息詰まる緊張感が会場中に漂います。侍による命を懸けた斬り合いとはこういうものだったのでしょうか。そして絶好の機会に繰り出される技の11つには、素人目にも美しさを感じました。

■邪心を捨てた一本とは
八段優勝大会の試合時間は全て10分です。(延長あり)全日本選手権でも通常は5分で、10分になるのは準々決勝からです。ではなぜ最初から10分なのか、古川範士は、、、。「八段といえども人間。どうしても試合になると、残り時間を気にして焦ったり守りにいってしまうこともある」と。負けたくない、打たれたくない、勝ちたい。こういう気持ちを”邪心”と表現する古川範士。そんな邪心を忘れ、無心の一本だけを目指すのが”八段の剣道”ということなのでしょう。
「時間を意識せず、正々堂々とした八段の剣道を続けるには、10分という長い時間が必要なのだろう」とのこと。ご自身も、「もう少し若いころは、まだ勝敗にこだわった剣道だったかもしれない」と自らを振り返っておられました。

かつて筆者が観てとても感銘を受けた八段審査を題材にしたドキュメンタリーがあります。
NHK ドキュメントにっぽん心で闘う120秒 〜剣道・日本最難関試験に挑む〜”」元全日本選手権覇者の石田健一さんが、八段審査に苦戦しながらも合格するまでを追った名作です。最後の筆記審査で、剣は「心」なりという教えについて考えを述べよという課題に対し、石田さんの答案の締めくくりは、、、。
「剣道で一番大切なのは驕らずに自分の弱点を認め、それを稽古で改めて行く素直な心である」
古川範士も、八段になっても「お山の大将になってはいけない」と話していらっしゃいました。”素直な心”というのは、人として、社会人としても非常に大切なことです。この年齢になってもまだ謙虚さを忘れない。そんな心を学べるのも、人間形成を目的とした武道「剣道」の良いところですね。

そんな話を聞きながら、試合後のインタビューで印象的だったのは、谷勝彦選手(群馬)。2本勝ちを続けた二回戦までを振り返っていただくと「呼吸を大事にしたら”技が出た”」と語る谷選手。技を出すのではなく、”出た”という言葉に、これぞ無心の一本目指す八段剣士の姿を垣間見た気がしました。剣道とは、打突部位に当たったかどうか、勝ち負けを競うだけのスポーツではなく、心と心の戦いであることを、改めて認識しました。


谷勝彦 61歳 範士八段 群馬(第10回大会優勝)

■スポーツ界の常識を取り払う審判システム
八段優勝大会では、審判員は担当する試合が最初から全て決まっているそうです。全日本選手権や、その他のどのスポーツでも、審判は、同じ地域出身・所属の選手の試合を裁くことがないように配置されるのが一般的です。それは、審判も人間なので、多少なりとも贔屓目に観てしまうことがあるためでしょう。しかし、この八段優勝大会はそんなことは関係ありません。北海道の古川範士は、決勝の副審を担当。その決勝には同じ北海道の栄花直輝選手が進出していました。しかも古川範士にとってはかつての教え子です。私情を一切挟まず、適正公平に審判に徹する。文字面だけでは審判として当たり前のことのようにも思えますが、人が実際にこれを行うことは難しいことです。だからこそ、一般的にはどのスポーツでも大抵は、同国・同地域出身の審判が同国の選手の試合を裁くことがないように取り決められています。しかし「剣道家として、八段たる者、そんな私情に流されてはいけない」ということなのでしょう。剣道八段優勝大会は、剣道界最高位の大会だからこそ、そんなスポーツ界の常識も取り払われているのかもしれません。剣道家の最高峰として修行の成果を披露するのは、選手だけではなく、ある意味では審判も同じなのですね。古川範士は、本音では非常にやりずらいと思っていたそうですが、剣道家として恥ずかしくない審判をしなくてはならないという強い意識で臨んだそうです。


決勝戦を裁く古川範士

■永久保存版としてご覧ください
番組では今大会で決まった全ての一本をご覧いただけます。制作ディレクターである筆者が自分で言うのもどうかと思いますが、現場で観ていたその緊張感と迫力は、正直に申し上げて映像だけでは表現しきれません。まだ肉眼でご覧になっていない方は来年、会場でご覧になってみてはいかがでしょうか。当番組には独自のカメラとハイスピードスロー映像、そして最高位の範士八段の先生による的確な解説がありますので、会場で試合をご覧になった方も、永久保存版として視聴していただく価値があると思います。優勝した栄花直輝選手との高校時代の思い出話も飛び出すなど、貴重な話を4時間たっぷりと聞くことができます。

ところで、古川範士は現在65歳ながら非常に若々しいお姿だったのですが、収録後の帰りがけに、お土産にと和菓子をお渡ししたときにこんなエピソードが。。。「和菓子?実は甘いものは食べない」と古川範士。「お嫌いなんですか?」と伺うと、「健康のために控えている」とのこと。ほか、アルコールと炭水化物も控えながら、体も鍛えているそうで、なんと、、、「体脂肪率は10%未満、稽古の後は8%台」驚きです。。「生涯剣道」という言葉がある通り、剣道家には”引退”という2文字はないのかもしれません。

次回は、副音声収録の様子をお伝えします。
解説:林邦夫さん(範士八段)*中京大学名誉教授
ゲスト:渡辺正行さん(五段)、チャンカワイさん(三段)、
司会:森葉子アナウンサー(四段)
出演は以上の4名で決定しています。
*番組を録画される場合、画質を落とさず放送品質のままでないと、
 副音声は記録されないことが多いらしいのでご注意ください。
(レコーダーの機種にもよって違いがあるかもしれません)

CSテレ朝チャンネル2でついに、剣道界の最高峰「全日本選抜剣道八段優勝大会」を放送
5/31(金)よる9時30分~
【今後の放送予定】
6月 令和元年度 全国警察剣道選手権大会
9月 全日本女子選手権
10月  全日本東西対抗大会

 

≪次回は副音声収録特集!≫
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