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開会式鳥の巣にて
私にとって初めての五輪取材は、さながら、「ゴールの見えないマラソンを走り続けること。」でした。 最初の1キロはペース配分もわからず、全力で走りました。 10キロ通過のタイムは、テレビ朝日新記録に並ぶほどの高速タイムで走り抜けました。 しかし、明らかなオーバーペースが懸念され始めたのもこの頃です。 中間点通過は息も絶え絶え。 30キロ通過時点では、気力しか残っていませんでした。 そして、今、ゴールが見えた瞬間、気力、体力とも精魂尽き果てる中で思うことは「もっと走っていたい。」 早朝から深夜まで、「いつ、なんどき、どの番組にも中継を入れる」体制をとりつつ、可能な限り、競技会場で取材してきました。 現場でしか感じることができない鮮度の高い情報を、「自分の言葉」で視聴者の皆様に伝えていくことは本当にやりがいのある仕事でした。 失敗もたくさんしてしまいました。 言いたいことがうまく言葉にできない、選手とのインタビューが噛み合わない。 日々、試行錯誤の毎日でした。 「五輪」は、選手はもちろんのこと、取材者に対しても「健全な肉体」と「健全な精神」が必要とされることを、身を持って感じました。 北京オリンピックのメインスタジアムである国家スタジアム「鳥の巣」の前に立って感じることは、北京オリンピックは壮大で、勇壮で、感動的な五輪でした。 しかし、「鳥の巣」が建設される以前に、ここに住み、立ち退きを強要された無数の市民や、「鳥の巣」建設を担った無数の労働者には最後まで会うことができませんでした。 中国の表と裏が濃縮され、凝縮された「鳥の巣」。 最後の最後まで、しっかりと取材してきます
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