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急遽、私も野口のシューズを作ったアシックスの三村氏の夕餉を急襲してしまいました。 「今日聞いてもう、がっかりだよ」 三村さんもかなりの落胆振りでした。 「7月3日の野口の誕生日に足の測定をしたんだけれど、以前は偏っていた靴の減りもなくなって、とってもいいフォームに仕上がっていたんだよね。この調子なら連覇間違いなしというくらい調子がよかったんだ。こういうときは気をつけろよ!といって別れたんだけれどね、まさかこんなことになるとは・・・」 “調子がいいときこそ気をつけろ!” これはオリンピックではとても大切な言葉です。 好調で注目されていると妙なプレッシャーを自分にかけて、自爆していく選手もいます。 中国で最初の金メダルを獲得するだろうと期待されたエアライフルの杜麗選手は、プレッシャーから2大会連続の金メダルを逃しました。 ウエイトリフティングの三宅宏美選手もそんな一人かもしれません。 反対にあまり注目されていないと、自分のペースでしっかり試合を運び、思わぬ結果をもたらす選手たちもいます。
末綱聡子・前田美順ペア
優勝は男子団体とアベック優勝の中国 2位はアメリカ 3位はルーマニア 4位はロシア 5位日本 こうやって並べて書いているだけでそのすごさがわかります。 5位という成績は1968年のメキシコ五輪の4位に次ぐ成績ですから、その素晴らしさがわかるというものです。
体操の女子選手たち
成績など気にせず、自分がやってきたことをしっかり出すことだけを心がけたのがよかったのでしょう。すべての競技が終わって、選手たちは初めて自分たちの順位が5番目にあることを知り、驚くやら喜ぶやらで大はしゃぎでした。 欲が出ると心理面がぐらつき、ろくな結果にならないようです。順位を気にし始めた中国、アメリカ、ロシアの強豪選手たちでさえも、ぼろぼろと平均台から落下していったのに、日本の選手たちは、全種目ノーミスだったのですから立派です。
松田丈志選手
「4年間の練習がすべてここに出ればいいと思っていました。どんな結果でも満足するつもりでした。」 無の心境。 これこそが持てる力を存分に発揮させる基本なのでしょう。 美空ひばりさんの歌「柔」を思い出しました。 「勝つと思うな、思えば負けよ・・・・」 日本選手結団式の時にはこれを歌うといいかもしれませんねえ。
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